Quantcast
Channel: 字幕映画のススメ
Viewing all 263 articles
Browse latest View live

2014年総括 GH字幕の全仕事

$
0
0
クリスマスも来て今年もあとわずか・・・
一週間もないんですね。2014年も。

今年の総括:GH字幕の全仕事。

今年は昨年5作品というショボイ本数に猛反省して
例年になく頑張った一年でした。
その数15本!前年対比300%(笑)
内訳はDVDが9本、ブルーレイが6本。
今年の後半は特にブルーレイに注力をしたのだ。
もうほとんどの家庭にデジタル方式のテレビが入って
録画装置もブルーレイに変わりつつある現状では
SD画質のDVDでは時代遅れと感じたのは正直な自分の思い。
同好の志もブルーレイ製作に傾いて行っているのは事実。
発掘される往年のレア映画もHD素材があれば簡単にブルーレイ化出来る。
しかも字幕さえもDVDよりはっきり美しくテレビ画面で再生できるのが魅力。
でもDVD素材でしか入手できないものは今後もDVDでは作っていく。
 
イメージ 1
イメージ 2
 
今年はブロ友のbigflyさん
ウチのロゴまで作ってくれたので
重宝しております。
イメージ 3

シネラマ大戦車戦絵巻 バルジ大作戦

$
0
0
イメージ 1
 
 
1944年12月16日、連合軍に圧倒され制空権を奪われた
ドイツ軍は最後の反攻に出た。
悪天候を利用して敵の爆撃機が飛ばない事を盾に
ドイツ機甲師団はジーグフリードからムーズ川を渡河して
アントワープへ抜け連合軍勢力を二分して巻き返しを図ったのだ。
これが「ラインの守り作戦」Unternehmen ”Wacht am Rhein”
 =バルジの戦いだ。ベルギーのアルデンヌ地方が戦場になった
事から「アルデンヌの戦い」とも称される。
しかし年が明けた1945年1月23日にドイツの進攻は失敗に終わり、
両軍合わせて死傷者延7万5千、死傷者8万6千を出して
連合軍によるドイツ包囲は進んだ。
4月30日にはヒットラーが自殺してベルリンは陥落。
そして1945年5月7日、ドイツは降服したのだ。
 
これは1965年にワーナー・ブラザーズがケン・アナキン監督で
大がかりなスペインロケで製作したシネラマ大作『バルジ大作戦』
日本ではテアトル東京のシネラマ・スクリーンで1966年4月に公開されて
その年の10月までロングラン上映された戦争映画巨編。
 
「ガソリン無けりゃタダの箱 バルジ大作戦」
http://blogs.yahoo.co.jp/gh_jimaku/10269869.html
 
 
MGM映画の傘下だったパナビジョン社が開発した65mmカメラ用の
撮影レンズを使った通常の70mmより横長の「ウルトラ・パナビジョン」を
シネラマのワイドスクリーンと6チャンネルステレオ音響でクライマックスの
戦車戦を描いた。シネラマ設備のない劇場は左右を切った70mm版で
配給されている。4年後の再公開時は70mm版だけの配給となった。
20世紀フォックスが『聖衣』で初めてシネマスコープを公開した際は
アスペクト比は2.55:1(その後は2.35;1に変更)
ウルトラ・パナビジョンはアスペクト比は2.76:1で最も横長の方式。
通常の70mmやディメンション150は2.20:1の比率。
ワーナーホームビデオからリリースされているのはDVDだけで
ハイビジョン映像のブルーレイは北米版のみとなっている。
昨年にスカパーのムービープラス(ここはよくワーナーの旧作が放送される)
で『バルジ大作戦』が放映された時のハイビジョン映像(1440X720)だったが
1.76:1のアスペクト比に詰められていてがっかりした。
イメージ 8
関西では梅田OS劇場で上映された。在りし日のシネラマOS劇場(1971年頃)
 
当時の撮影隊がスペインでロケをした時は森の中ではある程度雪があったが、
ラスト近くのティガー戦車とシャーマン戦車の戦いのシーンでは雪が消え
平原での戦いになってしまっている。
ドイツのティガーⅡ戦車(キングタイガー)はアメリカの製M47戦車が、
アメリカ軍のM4シャーマンはM24チャーフィ中戦車が使われ
貸与されたスペイン陸軍の戦車にハーケンクロイツが塗装された。

音楽はベンジャミン・フランケルが担当しているがテーマ曲になっている音楽は
彼のオリジナルではなく第一次大戦のドイツ陸軍から現在も伝わる戦車兵の唄
パンッアー・リート」Panzerliedだ。
劇中でロバート・ショウ演ずるヘスラー大佐が若年兵ばかりの戦車兵を閲兵する際
ひとりの兵士が突然歌いだして全員が合唱してついにヘスラー大佐も歌いだして
機甲師団の戦車隊長と指揮官が心身一体となる見せ場のひとつに使われている。
 
Panzerlied
  Ob's sturmt oder schneit, 嵐の日も雪の日も、
 Ob die Sonne uns lacht,  太陽 我らを照らす日も、
 Der Tag gluhend heis  炎熱の真昼も
Oder eiskalt die Nacht. 極寒の夜半も
 Bestaubt sind die Gesichter, 顔が埃に塗れようと、
 Doch froh ist unser Sinn,  我らが心は快活ぞ。
Ist unser Sinn; 我らが心は快活ぞ。
 Es braust unser Panzer  戦車は轟然と
 Im Sturmwind dahin. 暴風の中へ驀進す
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7
 

テレビ放映版は1973年にNET(現テレビ朝日)の日曜洋画劇場で
2週に亘って前後編で放映されたが、それでも10分程度のカットがされた。
関西では70年代には年末のこの時期になると神戸のサンテレビが
「栄光への脱出」とかこの「バルジ大作戦」を一挙放送と謳って
ぶっ通しで放映してくれて楽しんだ思い出がある。
 
 
プライベート版ブルーレイ 非売品
MPEG4-AVC フルHD1920x1080 16:9
ウルトラパナビジョン(2.76:1)
169分 英語5.1chサラウンド(ドルビー・デジタル)
日本語吹替モノラル(ドルビー・デジタル)
日本語字幕&吹替用補助字幕(吹替え音声の無い部分を字幕で補助)
イメージ 2
イメージ 3
イメージ 4
 
 
 

2014年BEST 『ジャージーボーイズ』

$
0
0
イメージ 1
 
イメージ 9

今年のベストワンはこれだ。
ジャージー・ボーイズ』(2014)
 
今年は例外的にベストテンまで選出
②『ゴーン・ガール』
③『6才のボクが、大人になるまで。』
④『フューリー』
⑤『アメリカン・ハッスル』
⑥『インターステラー』
⑦『アデル、ブルーは熱い色』
⑧『ダラス・バイヤーズクラブ』
⑨『ローン・サバイバー』
⑩『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
次点『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』
 
上記ベスト10の動画は下記へ
リンクの無断転載はおやめ下さい。

 
クリント・イーストウッド(以下クリ爺)監督のミュージカル仕立て
伝記映画とも言うべきか。
クリ爺は『硫黄島の手紙』&『父親たちの星条旗』あたりから
ノン・フィクション路線を歩みだして(それまでに『バード』とかもあったが)
南アフリカのマンデラ大統領を描いた『インビクタス/負けざる者たち』や
レオナルド・ディカプリオを主役に据えた『J・エドガー
(これは出来が悪いが)
を経てついにクリ爺ならではのクラシックナンバー満載の
音楽映画を仕立て上げた。
クリ爺はこの実在したグループ、ザ・フォー・シーズンズの物語を
戯曲化した物語『ジャージー・ボーイズ』を舞台で観て、
甚く感動して映画化を決めたらしい。
舞台は2005年にブロードウェイからスタートしてイギリスやオーストラリア
シンガポールなどで上演され幾多の賞に輝いた。
イメージ 2

ザ・フォーシーズンズは1960年代前期から活躍したグループで
ビートルズ登場以前は最も人気のあったグループとさえ言われた。
メイン・ボーカルはフランキー・ヴァリ
ボブ・ゴーディオがキーボード(作曲も彼の分担)
リードギターがトミー・ディーヴィオニック・マッシがベースギター
4人のグループで「シェリー」や「恋はヤセがまん
恋のハリキリ・ボーイ」「悲しき朝やけ」「悲しきラグ・ドール
などのヒット曲で有名。彼らのレコードは世界中で1億枚以上の売り上げを
記録して1990年にはロックの殿堂入りを果たしている
物語はまだフォーシーズンズ結成前の彼らの十代の頃の話からスタートする。
特にトミー・ディーヴィオとニック・マッシは不良少年で店先から金庫を盗んで
捕まって少年院に入れられる。いちばん齢の若いフランキー・ヴァリは
その美声を生かしてナイト・クラブで歌い、そこへボブ・ゴーディオが加わり、
「フォー・ラヴァーズ」が誕生するが、
後に「ザ・フォーシーズンズ」とバンド名を変えて
「シェリー」で全米ナンバーワンになり一躍人気グループに躍り出るが
やはり売れれば「カネのトラブル」は付き物で物語は転落劇に転じる。
特筆すべきはそれまでもクリ爺監督映画では見られなかった演出。
出演者たちがカメラ目線で観客たちに自分の気持ちや意見を語りかけるのだ。
これは原作としての舞台の設定が継承されたものに違いないが、
最近の映画でもこの手法を使う映画は珍しい。
(80年代のアメリカンハードコアのポルノ映画ではよく使われたが・・・)
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6

ヒット曲も出なくなり、メンバーたちにも深い溝が出来る。
そしてツアーばかりで家族を放置したばかりに
妻が飲んだくれになるフランキー・ヴァリ。
娘は家出で家庭崩壊寸前。娘をNYで見つけて彼女の本音を理解して
音楽の道へ歩ませてやるフランキー・ヴァリだったが、
その娘を麻薬中毒で亡してしまう。
失意のどん底でボブ・ゴーディオが持ってきてくれた一枚の楽譜。
これが後に何人もの有名シンガーに歌い継がれてきた名曲
『君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)』だった。
彼がソロでこの曲を大勢の観客の前で披露する、この場面は非常に感動的だった。
イメージ 7

ラストのエンドクレジットは出演者全員が劇中に登場した出で立ちで
踊って歌うある意味最もこの作品がミュージュカルとして近いものとして
表現している場面ではなかったか。いきなり暗転。
暗い街路に電柱の灯が照らしていたのは4人の男たち。
ブロードウェイの舞台のオリジナルメンバーの俳優4人のうち
3人をこの作品では再び起用して出演させている。

クリ爺も意外な所に登場する。劇中の白黒TVの中にロディー・イエーツ。
これはCBSの人気番組の西部劇『ローハイド
そのカウボーイ、ロディを演じた俳優こそが若かりし頃の
クリント・イーストウッドだったのだ。
劇場映画では最近ひさしぶりに顔を見たクリストファー・ウォーケン
彼も顔に刻まれた皺も多くなったが、マフィアの顔役を
肩の凝らない演技で好演していた。
イメージ 8
 
 
GKフィルムズ
マルパソ・カンパニー
ワーナー・ブラザーズ提供
 

監督: クリント・イーストウッド 
製作: グレアム・キング 
       ロバート・ロレンツ 
       クリント・イーストウッド 
製作総指揮: フランキー・ヴァリ 
             ボブ・ゴーディオ 
             ティム・ムーア 
             ティム・ヘディントン 
             ジェームズ・パッカー 
             ブレット・ラトナー 
脚本: マーシャル・ブリックマン 
       リック・エリス 
撮影: トム・スターン 
プロダクションデザイン: ジェームズ・J・ムラカミ 
衣装デザイン: デボラ・ホッパー 
編集: ジョエル・コックス 
 ゲイリー・D・ローチ 
作詞: ボブ・クリュー 
作曲: ボブ・ゴーディオ
 
ジョン・ロイド・ヤング
 エリック・バーゲン 
 マイケル・ロメンダ
 ヴィンセント・ピアッツァ 
 クリストファー・ウォーケン
 マイク・ドイル
 レネー・マリーノ
 エリカ・ピッチニーニ
 キャスリン・ナルドゥッチ 
 ルー・ヴォルペ 
 スティーヴ・シリッパ 
 ジョニー・カニッツァーロ
 

テクニカラー
パナビジョン(2.35:1)
134分
24ビットデジタル音響(5.1ch)
35mm→デジタル変換(2K)
日本公開2014年9月27日
ワーナーブラザーズ映画配給
 
 
(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
 AND RATPAC ENTERTAINMENT
 

 
 この記事で今年は最終とさせていただきます。
どうも1年間ご愛読ありがとうございました。
また来年もよろしく。
みなさん、良いお年をお迎えください。
 

 
 

 Je vous souhaite une très bonne année !

$
0
0
イメージ 1
 
  新しい年が皆様にとって佳き年でありますよう
心よりお祈り申し上げます。
本年もよろしくお願いいたします。
平成27年元旦
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 2
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ハマー・マニアックス2015

$
0
0
イメージ 1
イメージ 2
ハマー・フィルムとは創業は1935年、イギリスで生まれた映画製作会社。
だがたった2年で会社は倒産。
戦後の1946年に創業者の息子であるマイケル・カレラスと
アンソニー・ハインズによって再び映画製作を開始、サスペンス映画や
スリラー、またはメロドラマまで低予算の映画を量産した。
転機が訪れたのは1955年、ヴァル・ゲストが監督したSF恐怖映画
原子人間』がイギリスを始め世界各地でヒットして、
続く『怪獣ウラン』(1956年)もヒットした。
カレラスたちはユニヴァーサルから権利を買って戦前にアメリカでヒットした
ドラキュラやフランケンシュタインの怪物、狼男などをイギリスで
リメイクすることに着手、そしてテクニカラーの恐怖映画
フランケンシュタインの逆襲』(1957年)
ホラー映画史上最高傑作と称される『吸血鬼ドラキュラ』(1958年)
を生み出す。特に『吸血鬼ドラキュラ』はアメリカで大ヒットして
倒産寸前だったユニヴァーサル・スタジオを救った事でも有名になった。
この後も『ミイラの幽霊』(1959年)や『吸血狼男』(1960年)
などもスマッシュ・ヒットが続いたが、1960年中期に
それまでの本拠地であったロンドンのブレイスタジオを閉鎖、
EMIの傘下に入ったためにEMIスタジオやパインウッドで製作を
続けたが、時代も変わり『エクソシスト』などのメジャー大作に圧されて
劇場映画としては非ホラーの『レディバニッシュ・暗号を歌う女』[1980)
を最後に製作を中止してテレビドラマなどの製作に移ったが、
近年、新生ハマーとして再び劇場映画を製作を開始した。
ダニエル・ラドクリフ主演の
ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(2012)
も新生ハマー・フィルム作品だ。
2015年はハマー・フィルムが『原子人間』を送り出して
60年目、『吸血鬼ドラキュラ』の正式な続編である
『凶人ドラキュラ』(1965年)が製作されて50周年であるため
我がゴーストハウスプレミアムもこれを記念して
「ハマー・マニアックス」としてハイビジョン、PCMサウンドで
ブルーレイで甦らせる事に着手したい。
 
イメージ 3
 
 
 

第一弾
凶人ドラキュラDRACULA, PRINCE OF DARKNESS(1965)
監督:テレンス・フィッシャー
クリストファー・リー、 バーバラ・シェリー 、アンドリュー・キア
イメージ 4
 
 
第二弾
吸血ゾンビTHE PLAGUE OF THE ZOMBIES (1966)
監督:ジョン・ギリング
 アンドレ・モレル 、ダイアン・クレア、 ジャクリーン・ピアース
イメージ 5
 
第三弾
蛇女の脅怖THE REPTILE(1966)
監督:ジョン・ギリング
 ノエル・ウィルマン、ジェニファー・ダニエルズ、ジャクリーヌ・ピアース
イメージ 6
 
この後も続く予定。

上記三作の日本語吹替え音源(テレビ放送時)を募集いたします。
また『ミイラ怪人の呪い』『フランケンシュタイン死美人の復讐』も
併せて募集中。ご協力ください
 
イメージ 7
 
DRACULA, PRINCE OF DARKNESS
THE PLAGUE OF THE ZOMBIES
THE REPTILE
1965-1966(C)StudioCanal All Right Reserved.
 
 
 
 
 

お笑い北朝鮮 『ザ・インタビュー』

$
0
0
イメージ 1
イメージ 2
SPE(ソニー・ピクチャーズ)がDOS攻撃&ハッキングされた事
上映館のテロ行為を恐れて一時は上映中止になってしまったが、
バラク・オバマのあの声明で一部劇場公開とネット配信で好成績を上げて
何かと話題になっちゃった映画、それが『ザ・インタビュー』(公開未定)
 
 
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7
イメージ 8

冒頭は可憐な北朝鮮の少女が民衆の前に歌を披露するが、
その歌詞はとんでもなく
悪口雑言で米国を非難する。
米国民は横暴で肥満で醜い、自分の血とクソで溺れ死にやがれ」といった具合。
彼女の歌うステージのパビリオンの裏から煙が立ちあがって空に向かって
巨大なミサイルが発射される。
北朝鮮はついにアメリカ西海岸まで届くミサイルの開発に成功したと
テレビのニュース・キャスターたちは視聴者に訴える。
「我々の世界には現代のヒトラーがいる、それは金正恩(キム・ジョンウン)だ」
場面は変わって人気トーク番組番組のスカイラークのスタジオで
司会のディブ(ジェームズ・フランコ)が人気歌手エミネム(本人)の
インタビューを始めている。この番組の黒幕は敏腕プロデューサーである
アーロン(セス・ローゲン)で過激な内容とゴシップ探りで視聴率を稼ぐ
ハイエナ番組だ。だが旧友に今の仕事を蔑まされたアーロンは真の報道とは
とひとり悩む。だがディブが持ち込んだ話で金正恩がスカイラークのファンだと
知って、本気で北朝鮮に行って金正恩に単独インタビューをしようと思いつく。
IOCの事務所に手を回したアーロンの元に北朝鮮側から
コンタクトが突然あって、中国の丹東までひとりで来てくれとの事だった。
アーロンは単身、中国まで出かけて行く。北朝鮮が緯度・経度でコンタクトに
指定した場所は山岳地帯で、そこへ巨大なヘリが着陸してAK47で武装した
北朝鮮兵士に包囲されるアーロンの前に現れたのは
パク・スク(ディアナ・バング)彼女は北朝鮮の報道官だった。
ただ面会は1時間で質問は全て北朝鮮側が
あらかじめ決めるという一方的な条件だったが、ディブが乗り気で
アーロンは北朝鮮へ行って金正恩のインタビューに臨む。
これはロード・オブ・リングだ!」
そしてディブは番組の中で平壌へ行って金正恩に世界初のインタビューを
すると告知するのだった。
他のニュース番組はスカイラークを一斉に非難するが
ディブはアーロンに「嫉妬してるだけさ、無視しよう」と宥める。
アーロンを励まそうとドラッグをやり、乱痴気パーティの翌朝に
訪れた男女がいた。ドアを開けると「アーロンさん、CIAです」
現れたのはレイシー(リジー・キャプラン)とボドウィンだった。
レイシーが来た理由は北朝鮮は今や米西海岸を核攻撃する力を有している
幸いにもアーロンたちは金正恩との単独インタビューをする機会に恵まれたので
CIAとしてはこのチャンスを生かしてほしいとの事だった。
金正恩をtake outしてほしいの
take out どかせる?それとも持ち帰りするだって?」
いえ take out(抹殺)してほしいのよ
 
何とCIAはアーロンたちに金正恩の暗殺を持ちかけて来たのだ。
北朝鮮内部にも現政権に不満を抱く者たちがいるので金正恩を失脚させて
その者たちに政権を掌握させるのが狙いだとアーロンたちに説明する。
レイシーみたいな巨乳のメガネ娘が大好きなディブはすぐその話に乗ったが、
アーロンは反対する。
しかし二人はCIA本部に行ってレイシーから作戦の計画を聞く
「あれ?キミ 眼鏡はどうした?」
レイシーの計画は遅行性の特殊な毒薬を塗って金正恩と握手をして
インタビュー後時間が経ってから金正恩が死ぬという手筈だった。
ディブは「視覚的に面白くない、金正恩を銃で撃って秘密のトンネルから
平壌を抜けてモーターボートで北朝鮮から脱出するんだ
」と息巻くが、
レイシーは「成功するわけがない、凍死するわよ。虎も森にいるし
ディブはコードネーム「糞虫」」アーロンは「ツチブタ」と決まった。
アーロンたちは毒薬を潜ませた鞄と通信機を内蔵した腕時計をCIAから
供給されて平壌へと向かう。
ディブ・スカイラークは北朝鮮に向かうぞ
報道陣に巻かれたディブは英雄気取りで答える
ディブ 金正恩のケツにキスしてやるのか?」
しないよ ただ手を使ってサービスしてやるんだ
センズリの手伝いか?」
アホ、ダブル・ミーニングだよ
アーロンが「黙れ!余計な事を言うな!!」
平壌空港ではチマチョゴリの美女の歓迎を受けて
国賓扱いに喜ぶディブとアーロン。
こんにちは!(日本語で)」
ディブは同行するパク・スクに質問する
金正恩はウンコもおしっこもしないのか?」
人民のために心血を注いでる為に体内で全て燃やしているためしません
じゃあケツの穴は無いのかい?」
必要ないので穴はありません
そして彼らが着いた場所は山中の要塞のような建物で、ボディチェックを
受けた際にディブがチューインガムに忍ばせた毒薬を護衛が食ってしまう。
それを知って怒り慌てるレイシーだが、代替えの毒薬を韓国の米空軍基地から
超小型ミサイルでアーロンの下に送った。
外へ取り行かないといけないアーロンは目立たない服に着替え
屋敷から出て受け取り地点へと急いだ。窓の内側からディブが見張っている。
だがアーロンの10m先に何か生き物が・・・
「アーロン、四足のシマシマの犬がいるぞ ちょっと大きいが」
同時にスパイ衛星で監視しているレイシーが叫んだ
シマシマの犬なんかいないわよ!それは虎だわ!」
ディブは「虎のキンタマを掴んで倒せ!」
メスだったらどうする?」とアーロン
じゃ、虎のオマンコを襲え!」
突然、アーロンに襲いかかる凶暴な虎。だが幸運にもそこに
無人ミサイルが虎に着弾した。死んだ虎からカプセルを回収した
アーロンだが、一難去ってまた一難。
北朝鮮の警備兵が騒ぎに気付いてやって来たのだ。
カプセルを隠せ!どこでもいい!ケツの穴に入れろ!」
レイシーも「ケツの穴に入れなさい!それしかないわ!」
アーロンは「嫌だ!こんなものをケツに入れるなんて!」
だがズブズブとアーロンはとうもろこし大の金属製カプセルを自分の
肛門に突き刺して隠す事に成功した。
警備兵に捕まって身体検査をされたが、カプセルは見つからなかった。
自分の肛門から取り出して毒薬テープをディブに渡して
カプセルを見せるアーロン
すごい!そんなものを肛門に入れたのか?帰国したら医者に行けよ
ロボコップにバックを犯されたと言え
その時、ドアをノックする音が。「誰?」
金正恩だよ 北朝鮮の最高指導者だ
この後はディブの大ファンである金正恩がソ連の戦車にディブを乗せて
砲撃をしたりヘリの操縦をさせたりとあり得ない話が続くが、
日本でも公開されないって可能性は無い事もないので一応あらすじはここまで。
 
イメージ 11
 
 
コメディ映画としてはちょっと政治ネタがあるので重たいか。
ジェームズ・フランコってあんな(とってもチャラい兄ちゃん)
キャラだったかな・・・
ボディランゲージが多すぎて演技過剰なのがちょっと鼻についたが。
セス・ローゲンの方はオーバー過ぎず笑わせるとこは笑わせる。
始めの方にエミネムにゲイだとカミングアウトさせたり、
ロブ・ロウにヅラを取らせてハゲ頭を披露させたりと実在の人物を
ネタにしているのはヤリ過ぎかも。まあ一番のヤリ過ぎは
金正恩そのものなんだけどな。
イメージ 9
↑ロブ・ロウのハゲの真相やいかに?
イメージ 10
ジョゼフ・ゴードン=レヴィットもワンカットでこの扱い!
 
全編下ネタとうんこ、おしっこネタ満載である。
下品大好きな方は是非お勧めしたい(w)
 
ポイント・グレイ・ピクチャーズ製作
コロムビア・ピクチャーズ/SPE
 
監督
エヴァン・ゴールドバーグ
セス・ローゲン
脚本
ダン・スターリング
原案
エヴァン・ゴールドバーグ
 セス・ローゲン
 ダン・スターリング
製作
エヴァン・ゴールドバーグ
 セス・ローゲン
 ジェームズ・ウィーヴァー
製作総指揮
ジェームズ・フランコ
 カイル・ハンター
 マイルス・レヴィ
 アリエル・シェイファー
 ベン・ウェイスブレン
 ショーン・ウィリアムソン
撮影
ブランドン・トロスト
音楽
ヘンリー・ジャックマン

ジェームズ・フランコ
セス・ローゲン
リジー・キャプラン
ランドール・パーク
ディアナ・バング
ティモシー・シモンズ
アンダース・ホルム
チャールズ・チャン
エミネム
ロブ・ロウ
ビル・マー
セス・マイヤーズ
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット
 
 
カラー
シネスコサイズ(2.35:1)
デジタルサウンド
35mm/2KHD
112分
アメリカ公開
2014年12月24日(SPE)
日本公開未定
 
2014(C)Columbia Pictures Industries Inc.
and LSC Film Corporation

死神と対峙 『第七の封印』

$
0
0
イメージ 1
イメージ 2

近年、北欧諸国の作品や北欧出身の監督の活躍が目覚ましい。
例をとってもデンマーク
ラース・フォン・トリアー『アンチクライスト』『ニンフォマニアック』
ビレ・アウグスト『愛と精霊の家』、『マンデラの名もなき看守』
フィンランドアキ・カウリスマキ『過去のない男』『街のあかり』
ノルウェーベント・ハーメル 『酔いどれ詩人になるまえに』
アイスランドフリドリック・トール・フリドリクソン『コールド・フィーバー』
そしてスウェーデンは一番映画産業が進んでいて
ラッセ・ハルストレム『ギルバート・グレイプ』『サイダーハウス・ルール』
ロイ・アンダーソン『純愛日記』『散歩する惑星』『愛おしき隣人』
トーマス・アルフレッドソン『ぼくのエリ 200歳の少女』
ミカエル・ハフストローム『ポゼッション』『ザ・ライト -エクソシストの真実-』

スウェーデンを代表する映画作家と言えば今でも
イングマール・ベルイマン(1918-2007)が筆頭に来るはずだ。
1952年に発表した『不良少女モニカ』で国外にも名が知られるようになり、
彼の作品群では珍しくコメディである『夏の夜は三たび微笑む』(1955)で
カンヌ映画祭で賞を獲って一流監督の仲間入りを果たす。
ベルイマン自身にとってもこの作品の受賞は転機であって、
好きな企画を映画化する事になる。
それはベルイマン自身が温めていた企画で
神の不在という実存主義的なテーマに挑んだ作品。
それは言わば「神の沈黙」である『第七の封印』(1957)だ。
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5


ベルイマンはこの作品に入るまで脚本を5回も書き直して綿密なリサーチを行って
クランクインに入る。だが制約は多く撮影日数は35日でロケ日数は
3日しかなかった。
冒頭に死神が海岸に現れる場面では助監督のレナルト・オルソン
海岸を二週間もかけてロケハンしてやっと最適な場所を見つけたのだ。
また予算や撮影日数を稼ぐために、撮影中のベルイマンは急に晴天から曇り空に
天候が急変した事で予定していた撮影を一旦取りやめ、その天候を逆手に取って
あの有名なシーンである「死の舞踏」の場面を撮ったと言われる。
ウディ・アレンは「最も好きで、最も影響を受けた映画」と述べる。
イメージ 7
『第七の封印』を演出中のイングマール・ベルイマン(1956年)

第七の封印を解き給いければ、凡そ半時のあひだ天静かなりき、
われ神の前に立てる七人の御使いを見たり、彼らは七つのラッパを與へられたり

天と地の3分の1が滅び去って、人類の3分の1が殺される。
それは第7番目の封印が解かれるとき、神の怒りと戒めの時だ。
新約聖書の一番最後の章である「ヨハネの黙示録」からの引用だ。
雲は天を塞いで、一羽の鷲が空を舞っている。
災いが来る。地に住む人々に」聖書には鷲の声としてそう書かれてある。
なぜ神は沈黙しているのか。
人間は自分の恐怖の中から作り出した幻影が、神ではないのか。
自分の内部にしかいない神を、なぜ自分は殺せないのか。
人間の五感で神の存在を知ろうとすると、どうしてこのように難しいのか。


ペストが蔓延し、世界の終末の不安に慄く中世ヨーロッパ。
10年にわたる十字軍の遠征から帰途についた騎士アントーニウスと従者ヨンス。
疲れ果て、浜辺で眠れぬ夜を過ごすアントーニウスの前に
「死」と名乗る黒いマントの男が現れる。
彼を連れて行こうとする死神に対し、チェスの勝負を挑むアントーニウス。
「対局の間死はお預けだ。私が勝てば解放してくれ」。
興味を示した死神は条件を受け入れ、チェスの盤を挟んで戦いが始まる。
夜が明け、故郷への道を急ぐアントーニウスとヨンス。
道の傍らには馬車を止めて休んでいる旅芸人の一座がいた。
役者のヨフは、目の前を通り過ぎる聖母マリアとイエスの姿を見るが、
妻のミアは幻だと笑って信用しない。
 教会を訪れたアントーニウスは、告解室に跪き、神への疑念と苦悩を語るが、
聖職者のふりをした死神に騙されてチェスの作戦を教えてしまう。
教会の外にはひとりの女が鎖につながれていた。
彼女は魔女で、明日火あぶりの刑にされるのだという。
農家に立ち寄ったヨンスは、盗人と鉢合わせた村娘を助ける。
その盗人こそ、以前熱烈な言葉で騎士たちを十字軍に参加させた、
神学者ラヴァルのなれの果ての姿だった。
旅芸人の一座は、陽気な芝居と歌を披露するが、
キリスト像を掲げ、自らを鞭打って歩く異様な集団にさえぎられる。
宿屋では大勢の客たちが、疫病がいつこの地方に
飛び火してくるかと噂しあっていた。
ヨフは鍛冶屋とラヴァルにからまれている所を、ヨンスに助けられる。
アントーニウスは、夫を待つミアと愛らしい子供ミーカエルと言葉を交わし、
心を和ませる。
そこに戻ってきたヨフ、ヨンスたちも加わり、草むらに腰を下ろして、
野いちごとミルクを分けあって食べ、しばし平和なひとときを過ごす。
この幸せな情景を永遠に記憶に留めたいと願う騎士。死神はヨフ一家に目をつける。
騎士アントーニウスが故郷に帰るために旅をする
ロードムービーの形を取って物語は進行する。
そして彼が出会う人々や土地で様々な事件が起こる。
裏では死神が糸を引いている。
騎士アントーニウスは結局、神にも会えず死神にチェスで負けてしまい、
信仰心を取り戻せずにいた人々も
一緒に命を刈り取られてしまい冥界へ送られてしまう。彼の妻も。
ただ最後まで信仰心を捨てなかった旅芸人一家は助かるのだが・・・。


ほぼ60年前の映画だがデジタルリマスターされた映像は
緻密で乱れも無くまるで水墨画のように美しい。音声も破綻が無く良好だった。
(今回はキングレコードから年末にBOXで発売されたブルーレイディスクで鑑賞)
マックス・フォン・シドー はこの作品からベルイマン作品の常連となり
彼も国際的な俳優の足掛かりとなった。 



イメージ 6スヴェンスク・フィルム製作
監督: イングマール・ベルイマン 
製作: アラン・エーケルンド 
脚本: イングマール・ベルイマン 
撮影: グンナール・フィッシェル 
音楽: エリック・ノードグレーン


 マックス・フォン・シドー 
 グンナール・ビョルンストランド 
 ビビ・アンデショーン 
 ニルス・ポッペ 
 ベント・エーケロート 
 グンネル・リンドブロム


モノクロ
スタンダード(1.37:1)
スウェーデン語・モノラル
97分
日本公開1963年11月18日
(東和配給)
第10回カンヌ映画祭審査員特別賞(グランプリ)
第37回(1963年度)
キネマ旬報ベストテン第6位

(C)1957 AB SVENSK FILMINDUSTRI

ドラキュラ・リターンズ 『凶人ドラキュラ』

$
0
0
イメージ 1

『凶人ドラキュラ』(1966)

ハマーフィルムのドラキュラ映画の第三作目。
ただ前作『吸血鬼ドラキュラの花嫁』ではドラキュラ自身が
登場しなかったために、8年後に公開されたこの作品こそが
第一作目の『吸血鬼ドラキュラ』(1958)の正式な続編にあたる。
その前作のヴァン・ヘルシング博士とドラキュラ伯爵の
壮絶なる死闘のクライマックス部分がアヴァン・タイトルに挿入されて、
スムーズに繋がるように施されている。
実際のところは完成プリントが規定の90分に
満たないために尺を稼ぐために付けられたフッテージだと言われている。

監督は全二作と同じテレンス・フィッシャー
前回ほどの重厚さは無いがクライマックスの追跡シーンは
ホラー映画をまだ手掛けて無かった頃のハマー・フィルムで
サスペンスやスリラー映画を量産していた
テレンス・フィッシャーの手腕の見せ所かと。
主演は8年ぶりにドラキュラ役にカムバックしたクリストファー・リー
今回は台詞はひと言もなくあくまでモンスター役に徹している。
そしてハマー・フィルム中期の看板女優でもあったバーバラ・シェリー
ヒロインにはイギリスのTVドラマなどで活躍したスーザン・ファーマー
ドラキュラを倒す神父にアンドリュー・キアが扮し
それを助けるチャールズ役にフランシス・マシューズが助演する。

イメージ 2
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5

この作品は1965年の4月から6月にかけてロンドン郊外のブレイ・スタジオ
撮影されたが、クランクアップ後も監督を除きほぼ同じスタッフ、キャストで
白夜の陰獣』(1966)が引き続きクランクインした。
その作品も『凶人ドラキュラ』のセットを流用している。
テレンス・フィッシャーはハマーのドラキュラ映画はこれを最後に
手掛けていないが、この後はピーター・カッシングと組んで
『フランケンシュタイン』を三本も作っている。
そのピーター・カッッシングとクリストファー・リーが
再びドラキュラ映画で共演するのは『ドラキュラ’72』まで
待たなければならなかった。

C・リーのドラキュラ作品としては最初で最後の
シネスコサイズ(テクニスコープ)で撮影された。
だからアヴァン・タイトルの『吸血鬼ドラキュラ』のクライマックスは
画面サイズが異なるため(『吸血鬼ドラキュラ』はヨーロッパ・ヴィスタ)
画面の左右をスモークのイメージを挟んだ苦肉の策を施してあった。
イメージ 6

ヒロインのバーバラ・シェリーは『妖女ゴーゴン』 (1964)や
『白夜の陰獣』(1966)、『火星人地球大襲撃』 (1967)<未>で
ハマー映画で活躍した美人女優だが、声質は少し太目で低めなので、
修道院で捕まって僧侶に心臓に杭を打たれる場面の絶叫は
共演のスーザン・ファーマーが金切声の吹き替えをしている。

イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9
イメージ 10
イメージ 11

アメリカでは『吸血ゾンビ』(1966)とカップリングで公開されたが、
日本では昭和41年に『蛇女の脅怖』と二本立てでTYチェーンで公開され、
その二週後に『吸血ゾンビ』と『白夜の陰獣』の二本立てで
20世紀フォックス配給で公開されている。

吸血鬼の弱点は太陽光、ニンニクの花、十字架、聖水、
そして心臓に杭を打たれると滅びる。
この『凶人ドラキュラ』では”溢れる水”(ランニング・ウォーター)が
弱点となる珍しいパターンで幕引きする。
氷の下に沈んだドラキュラ伯爵だったが、
次作『帰って来たドラキュラ』では僧侶の流した血で復活する。
また前作では描いてなかったドラキュラの協力者(吸血鬼ではなく人間)を
登場させる事によってこのパターンはこの後のドラキュラ作品の
重要なプロットとなって行く。
イメージ 12
イメージ 13




ハマー・マニアックスの第一弾。やっと完成しました。
特に日本語吹替え音源をご提供くださった方に
感謝いたします。

『凶人ドラキュラ』プライベート版ブルーレイ
フルHD MPEG4-AVC 1920X1080 カラー・シネスコサイズ(2.35:1)
英語・モノラル(ドルビーデジタル)2.0
日本語・モノラル(ドルビーデジタル)1.0
本編90分・日本語字幕(GH字幕)/吹替え音声用字幕
「凶人ドラキュラ」(TV題:吸血鬼ドラキュラ 宙吊りの惨死体)
クリストファー・リー 声優なし
バーバラ・シェリー 京千英子
アンドリュー・キア 大宮悌二
フランシス・マシューズ 広川太一郎
スーザン・ファーマー 平井道子
東京12チャンネル(テレ東)版。
イメージ 14
イメージ 15


大ヒット戦争映画 『アメリカン・スナイパー』

$
0
0
イメージ 1


アメリカン・スナイパー』(2014)
AMERICAN SNIPER


実在したアメリカ海軍”シールズ”の【伝説】の狙撃手、
クリス・カイル(1974-2013)の生涯を映画化した
クリント・イーストウッド監督の最新作。

イメージ 6

クリント・イーストウッドのフォー・シーズンの『ジャージー・ボーイズ』に続く
実録路線もので、原作はクリス・カイル自身の自伝
ネイビー・シールズ最強の狙撃手」を映画化したもの。
主演はブラッドリー・クーパーが務め、シェナ・ミラーが助演している。
クリント・イーストウッドの監督作品して、または戦争映画としては
アメリカでは史上最高の3億ドルを突破した大ヒット映画の記録となっている
(この事はアカデミー賞受賞会場でもジョークとなっていた)
クリント・イーストウッドは『硫黄島』2部作から主にノンフィクション路線
演出して『インビクタス・敗れざる者』、『J・エドガー』、
ジャージー・ボーイズ』と続いている。

主演のブラッドリー・クーパーは製作にも関わり
「クリント・イーストウッドのテンポの速い、効率よく時間を使い方の
演出法で素晴らしい共同制作が出来たと」絶賛している。


イメージ 2
実在の故クリス・カイル

厳格な家庭で育ったクリス(ブラッドリー・クーパー)は
カウボーイを目指していたが9.11の
アルカイダのテロ攻撃で自ら志願して海軍に入隊をする。
米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、イラク戦争に狙撃手として
派遣されたその任務は“どんなに過酷な状況でも仲間を必ず守ること”。
狙撃精度の高さで多くの仲間を救ったクリスは “レジェンド”の異名を
轟かせるまでになる。
しかし、敵の間にもその腕前が知れ渡り、
“悪魔”と恐れられるようになった彼の首には18万ドルの賞金が掛けられ
彼自身が標的となってしまう。一方、家族はクリスの無事を願い続けていた。
家族との平穏な生活と想像を絶する極限状況の戦地。
愛する家族を国に残し、終わりのない戦争は幾度となく彼を戦場に向かわせる。
過酷なイラク遠征は4度。度重なる戦地への遠征は、
クリスの心を序々に蝕んでゆく……。
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5

愛国心によって国を守りたい一心でシールズのチームに入隊して、
生涯160人の敵兵(実際は250人以上)
を狙撃して数々の功績をあげた主人公。妻との愛と葛藤、
過酷な戦場で失っていく戦友たち、
そして何よりも自分を蝕むPSTDに悩まされる。
そして同じくPSTDを病んだ帰還兵に殺害されこの世を去る。
主人公のクリス・カイルを演じたブラッドリー・クーパーの演技も良いけど
銃後の妻タヤを演じたシェナ・ミラーは見事だった。
ほとんど黙殺されているが、彼女をもっと評価してあげてもいいのではないか。

同じメロディが2回流れるが、どちらも葬列のシーンで
最初は主人公の同僚の葬式で、最後は主人公自身の葬儀のセレモニー。
この曲の後もエンドクレジットが延々流れるが、音楽は無い。
そのメロディはエンニオ・モリコーネが1965年に発表した
ジュリアーノ・ジェンマ主演のマカロニウエスタン
続・荒野の1ドル銀貨』(IL RITORNO DI RINGO)
で使われた「FUNERAL(葬列)」その映画では死んだ事に
なっている南軍の英雄リンゴーの葬式で
自分の葬式を物陰から見つめる主人公のシーンで流れていた。

クリス・カイルが使うライフルはMk11(ナイツアーマメント社)で
シールズ御用達の狙撃銃で他の兵士が装備しているM16A2や
M4カービン(5.56mm)より大口径の7.62x51mm NATO弾を使用する。
イメージ 7


ワーナー・ブラザーズ映画
ビレッジ・ロードショー提供
マルパソ・カンパニー

イメージ 8監督: クリント・イーストウッド 
製作: ロバート・ロレンツ 
    アンドリュー・ラザー 
    ブラッドリー・クーパー 
    ピーター・モーガン 
    クリント・イーストウッド 
製作総指揮: ティム・ムーア 
    ジェイソン・ホール 
    シェローム・キム 
    ブルース・バーマン 
原作: クリス・カイル 
 『ネイビー・シールズ 
   最強の狙撃手』(原書房刊)
    スコット・マキューアン 
    ジム・デフェリス 
脚本: ジェイソン・ホール 
撮影: トム・スターン 
プロダクションデザイン:
 ジェームズ・J・ムラカミ 
 シャリーズ・カーデナス 
衣装デザイン: デボラ・ホッパー
 
編集: ジョエル・コックス 
    ゲイリー・D・ローチ
音楽:クリント・イーストウッド
          エンニオ・モリコーネ



 ブラッドリー・クーパー
 シエナ・ミラー
 ルーク・グライムス
 ジェイク・マクドーマン
 ケヴィン・レイス
 コリー・ハードリクト
 ナヴィド・ネガーバン


カラー
シネスコサイズ(2.35:1)
デジタル4K
ドルビー・デジタル
ドルビー・アトモス
132分
日本公開2015年2月21日
ワーナーブラザーズ配給
日本語字幕:松浦美奈
第87回アカデミー音響編集賞受賞
アラン・ロバート・マレー 、ボブ・アズマン

(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,
WV FILMS IV LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC-U.S.,
CANADA, BAHAMAS & BERMUDA. 
(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED,
WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC-ALL OTHER TERRITO


ホームシアター導入日誌

$
0
0
イメージ 5




自分の部屋で観ているテレビ・・・
最近の薄型液晶は画像は綺麗だけど、
音響は全然迫力に欠ける


イメージ 1
イメージ 2

ブラウン管時代は松下電器産業(パナソニック)の「画王」や
東芝の「BAZOOKA(バズーカ)」など音響に拘った製品も多く発売されていた。
シャープや三洋電機もサラウンド回路搭載の受像機を市場に投入したりして
ビデオレンタルの活性化と共に80年代半ばは25インチや29インチの
テレビが売れて新しくBS放送やWOWOW放送(JSB)が始まり
また時代を先取りして90年代にはワイドテレビも発売されて、
地上波だけで小さい画面でテレビを見ると言う時代は消え去った。

2000年にはBSデジタル放送を開始、
2003年には東阪で地上デジタル放送の試験放送が開始されて
液晶やプラズマテレビの登場。徐々に電気店の店頭から
ブラウン管テレビが徐々に姿を消して、ヴィエラやアクオス
レグザ、ブラビア、WOOなど各社は独自ブランドを打ち出し
その8年後の2011年7月24日に地上デジタル放送に移行して
アナログのブラウン管テレビは役目を終えた。
液晶テレビは初期のLCDから現在のLEDに替わり
消費電力やバックライト、または輝度や画質そのものの向上は
アップしているがボディもシェイプアップしてスリム化された結果
スピーカーの設置スペースも無くなり、画面の下部に下向けに装着されたり
背面に取り付けられている製品も存在する。
これではいくら画像はハイビジョンでも音は貧相になってしまう。
各メーカーは対策を講じて最初に出して来たのが
スピーカーラックといういわばテレビ台の中にスピーカーを
組み込んで迫力を出そうというものだったが、
売価が3万円から10万程するのでよほど予算に余裕がある購買層以外は
受けなかった。そして現在も売れているのはサウンドバーという代物。
これはテレビの前に細長い棒状のユニットに複数のスピーカーを組み込んで
DSPなどで音響効果を高める優れモノ。
ヤマハやパイオニア、オンキョーやデノンなどオーディオメーカーが
市場でしのぎを削っている。
そしてもう四半世紀も前からあるのがホームシアターオーディオ。
聡明期は確かティアックかマランツが出したドルビーサラウンドデコーダー
それをケンウッドや日本ビクター(JVC)がミニコンポに搭載させたり、
NECがAVセンターという名称でAVアンプを発売してヒットした。
劇場用映画がデジタル音響に替り家庭用シアターも5.1チャンネルに進化していく。
フロントに左右のスピーカーとセンタースピーカー、サブウーファー(LFE)
それに後方のサラウンドスピーカー2台の6台のスピーカーで音場を体験するのが
標準な組み合わせ。最近ではソニーやパイオニアからブルーレイプレーヤーも
組み込まれている製品が流通している。これはブルーレイに導入されている
DTSマスターオーディオHDドルビーTrueHDを再生するため。
HDオーディオはロスレスと呼ばれてスタジオで収録された音声を
1ビットも劣化させることなくほぼ原音通りに家庭で再生できる

その媒体が民生用ではパソコンを除いては、
ブルーレイディスクしかないからだ。

話を元に戻して自分が使っているテレビは東芝のレグザ。書いた通り、
LCDなので薄いがスピーカーが画面の下に下向きにつけられて音量を上げても
テレビ台に当たって音が拡散されテレビの背面に回って聞いた方が明確に聞こえる
珍妙な構造になっている。画質は直下型LEDなので明るく気に入ってるのだが・・・
ホームシアターオーディオのカタログを見回しても安いもので2万から
本格的なものなら10万円を超してしまう。そんな予算は・・・・無い。
で思ったのが、オークションで中古を安く手に入れようと考えた。
だが、何を買えば? 手持ちはアンプもスピーカーもない・・・・
で、ヤフオクで見つかったのがHTP-S313というパイオニアのセット
ウーファーにアンプが組み込まれ6個のキューブスピーカーが付属されている。

価格は・・・・ご、570円!
イメージ 3

発売当時(2007年)に4万円したものが570円だと!
リモコンもあるし、付属品も欠品もあるが使用に差し支えは無さそう・・・
でもジャンク品でノークレーム・ノーリターンとある。
ジャンクって「ゴミ、クズ」の意味だ。
「故障品」「不要品」「がらくた」の意味のことである

だが、もしや・・・出品者が動作確認出来ずこれが動作品であるならば・・・
例え570円でも金を出してゴミを買うのか?送料も払って?
試しに入札して、ああ、何ということだ、落札してしまった(笑)
数日後、自宅に送られて来ましたよ、佐川急便の人から受け取った
でっかい箱に無造作に放り込まれてたのを開梱して電源ケーブルを差してみた。

ううううっ、電源が入らない!
やはり正真正銘のジャンク品だったのだ!

分解してテスターで調べたがどうも基盤のリレーがイカレているようで
部品の種類も不明だし回路図が無ければお手上げだった。修理は諦める。

ここでプランBを発動させる。
アンプは壊れていてもスピーカーが壊れている事はまず無いだろう。
このパイオニアのスピーカーを活かせて最小限の予算で入手する方法を考えた。
同じパイオニアのシリーズを入手するか、オンキョーやソニーも選択肢もある。
またはAVアンプだけ揃える方法もあるが、スーパーウーファも必要になる・・・
そして何件か候補にしてウォッチリストに登録する。
ヤフオクのウォッチリストに入れておけば終了間際にスマホにお知らせが入る。
ここでオンキョーのHTX11Cというアンプ内蔵ウーファーと
フロントスピーカーのセットが出ていたので3180円で入札しておく。
あまり乗り気じゃなく、これは誰かが落とすだろうと思っていたら・・・・
イメージ 6

ああああ、何てこった、
落としてしまった。金を払わないと・・・・

動作確認済みで付属品や説明書も全部揃ってる。元箱もあるという。
出品者は大阪の方だったが土曜の夜に落札して何と月曜には届いた。
驚異的な速さでびっくりした。ちゃんと元箱に入って
小さな傷はあるが大事に使われていたみたいで、程度は良好。
これもゴミのパイオニアHTP-S313と同じく2007年の発売で
当時の価格は3万円前後。
早速セッティングを開始。テレビの前にオンキョーの
フロントスピーカーとパイオニアのセンタースピーカーを置いて
サラウンドはパイオニアスピーカーを据えてアンプに結線して
リモコンで5.1チャンネル構成にセットする。
ブルーレイレコーダーとレグザからは光デジタルケーブルを2本繋いで
音出し確認。DOLBY、DTS、AAC全てが再生することを確認。
テストトーンで各スピーカーの音量レベルとリスニングポジションから
スピーカーまでの距離を設定してセットアップは完了した。

イメージ 4

早速、サラウンドで聴くならこれがベストと言われている
スティーブン・スピルバーグの『プライベート・ライアン』の
ブルーレイを再生させる。ブルーレイの音響は5.1チャンネル
DTSマスターオーディオだがこのシステムはHDロスレスには対応していない
ので通常のDTS5.1チャンネルで再生する。
ノルマンディ上陸作戦のオマハビーチの戦闘シーンが凄い。
銃弾の効果音が前後左右に飛んでまるで部屋の中で戦闘が起きているようだ・・・

実はこの後もプランCを計画中だ。
音響のロスレス化。オンキョーには単品のAVアンプでSA-205HDXという
コンパクトなものがあって、これはDTSマスターオーディオや
ドルビーTrueHDに対応してHDMIのARCにも対応するのでレコーダーや
TVに連動する。スーパーウーファのスピーカー端子もあるので
HTP-S313のアンプユニットを取り外してウーファとして活用させて
HTX11C本体はプリアンプとして余っているパイオニアのフロント
スピーカーを使ってSA-205HDXのサラウンドバックから信号を貰い
トータルでロスレス7.1チャンネル化を計画している。
例えひとつでも無駄が出ないように資源の活用を・・・・

イメージ 7

HTP-S313のリモコンだけは使い道が無いがこれは
オークションに出せば2000円前後で売れるかも知れない。
落札相場は2188円。
サラウンドシステムは結構リモコンなしで出品されているものが多く
見受けられる。だがリモコンが無ければ細かい設定は出来ない。
ちなみにSA-205HDのリモコンはRC-678Sで
これはHTX11Cと共用なのでもしSA-205HDXを
リモコン無しで入手しても困る事はない。

SAVING PRIVATE RYAN
Copyright © 1998 DREAMWORKS, LLC.
 and PARAMOUNT PICTURES CORPORATION
and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All rights

汝の隣人を皆殺し『ロリ・マドンナ戦争』

$
0
0
イメージ 1

ロリ・マドンナ戦争』(1973)
THE LOLLY-MADONNA WAR
LOLLY MADONNA XXX


鮮血は青春の花びら―
〈バニシング・ポイント〉の鋭才サラフィアン監督が 超暴力で描く衝撃の名作!

1971年に発表したニューシネマの一編にして名作の『バニシング・ポイント』で
頭角を現した映画監督、リチャード・C・サラフィアン
だが彼はそれまでTVドラマを数多く演出して、ロバート・アルトマンとは
親友で彼の作品を手伝ったりしていた。
日本でも劇場公開された『野にかける白い馬のように』(1969)で
劇場映画に進出、そして『バニシング・ポイント』で脚光を浴びる。
期待されてMGMからオファーを受けたのがスー・グラフトン女史の
ベストセラー小説の『ロリ・マドンナ戦争』だった。
テネシーの高原地帯を舞台に土地を巡っていがみ合う二つの家族の
壮絶な物語で、主演はロッド・スタイガーロバート・ライアン
ジェフ・ブリッジスなどで新人のシーズン・ヒューブリーが加わる。
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6

作品は1972年に撮影され、アメリカでは1973年の2月に公開され
日本でも1973年11月に東京ではみゆき座(当時)で単館公開されたが
興行的にもヒットしなかった。
リチャード・C・サラフィアンはその後に
バート・レイノルズ、サラ・マイルズの西部劇『キャット・ダンシング
を発表するがこれもパッとせず、再びTVドラマ畑に戻って行く。
そして1979年当時、人気絶頂のファラ・フォーセット主演の劇場映画
サンバーン』を撮るが、これも惨めな結果に終わる。
1990年、日本のNHKが資金を出した『クライシス2005』も手掛けるが、
あまりの出来と日本側の勝手な編集に怒って監督名を
アラン・スミシー名義にしてそれ以降は俳優として活躍して
2013年に没した。

町山智浩氏の名著「トラウマ映画館」(集英社)にも紹介されたこの作品、
掲載されている他作品は幾本もDVDリリースされ陽の目を見ているが、
同じMGMで製作された『去年の夏』(1970)と同様に
日本ではビデオ化DVD化はされていない。

イメージ 14

セピア色の家族写真 「フェザー家 1969年」
「幸福な結婚35周年 1966年」「フィンチの妻 ライダジョー 1968年」
「隣人ガットシャル家 1972年」
などが映し出されテネシーの山中の景色が続く。
この土地にはレイバン・フェザー(R・スタイガー)の一家と
バップ・ガットシャル(R・ライアン)の一家が隣り合わせ暮らしているが
お互いは牧草地を巡って対立している。
いきさつはフェザーが税金滞納で取り上げられた先祖代々の土地を
ガットシャルが競売で手に入れたからこの争いは始まった。
フェザー家は男ばかりの五人兄弟
長男スラッシュ(S・ウィルソン)次男スカイラー(T・スコット)
三男ホーク(E・ローター)四男ザック(J・ブリッジス)
末弟のフィンチ(R・クエイド)それに母親のチッキー(K・スクワイアー)
ガットシャルは長男ビラム(P・コスロ)次男ルーディ(K・マーティン)
三男セブ(G・ビジー)、末妹のシスターE(J・グッドフェロウ)
母親のエルスペス(T・ヒューズ)
それにスカイラーとシスターEは密かに愛し合っているが
シスターEまだスカイラーに身体を許していない。
オンボロのシボレーのトラックに乗ってホークがスラッシュを
誘いに来た。それはガットシャルの郵便ポストに一枚の葉書を見つけたからだ。
ロリマドンナという娘がルーディに惚れて嫁にやって来るという内容だ。
バス停で待つから迎えに来てという文面にスラッシュたちは
先回りしてロリマドンナなる娘を誘拐しようとする。
森の中でスラッシュたちがバス停に急ぐのをビラムたちが見張っていた。
トラックが走り去るのを確認するや彼らはフェザーの土地に入って行く。
牧草地に紛れ込んで奪われた自分たちの豚を取り戻すために
わざとロリマドンナなる架空の女を作って裏をかいたのだ。
フェザー家は山中に密造酒の蒸留所を作っていたが、ビラムたちは
それを壊して豚を取り戻す。
しかしバス停にはナッシュビル行きのバスを待っていた
短髪のボーイッシュな美少女ルニー(S・ヒューブリー)がいた。
スラッシュとホークはルニーをロリマドンナと思い込み
トラックに無理矢理押し込んで家に戻って来る。
ルニーはいくら弁解してもフェザーの家の連中は
彼女をロリマドンナと思い込んでルニーを軟禁状態にする。
壊された蒸留器を直していたホークとスラッシュだが
ホークはルニーから奪った化粧品で女装してふざけている。
そこへ密かにスカイラーに会いに来たシスターEがやって来るが
2人は彼女を強姦してしまう。
愛する男の兄弟に無残にも処女を奪われた娘に
母親は慰めてやるが、ガットシャルの男たちの怒りは収まらない。
一方監視されて何処へも行けないルニーだが
ザックが孤児だったルニーに優しく接してくれ
彼女も心優しいザックに魅かれて行く・・・・
そして翌朝にガットシャルは手籠めにされた娘を連れて
フェザーの家に乗り込んでくる。
自分の息子に恥をかかされたフェザーは激怒するが
その怒りの矛先はガットシャルに向けられる。
ガットシャルも自分の土地に立ち入り禁止の看板を立てるが
面白くないフェザーはそこにガットシャルの豚を繋いで
火を付ける。火が迫って断末魔の声を上げる豚を放そうと
一緒いたルニーが走り出した。同じくエルスペスも走って来たが
スラッシュが放ったライフルの銃弾で即死。
だがホークも肩を撃ち抜かれて重傷を負う。
フェザーはスラッシュに怒り殴りつけるが、ここで
初めてスラッシュは父親に刃向う。
それは過去にザックの嫁でありながら自分の実の娘以上に溺愛して
ライダジョーがスラッシュの馬に乗って落馬して死んだことで
フェザーがスラッシュの馬を全部ライフルで撃ち殺した恨みに遡る。
フェザーは何度もスラッシュを蹴り上げるが思い余って
息子を殺してしまう。ガットシャルもフェザー家を全滅すべく
ライフルや拳銃、カービン銃で武装してフェザーの屋敷を囲う。
その時だった、ガットシャルのセブが大事になる前にフェザーの
屋敷に来てホークを差し出せばこの争いに一応の決着がつくからと
説得に乗り込んできた。だがフェザーは長男を殺したショックで
狂っていた。一番冷静なスカイラーは事の収拾を保安官に任せようと
町へトラックを走らせるが、ガットシャルらの放った銃弾でトラックは
横転、スカイラーも息絶える。
それを見たフェザーの人間は唖然とするが、セブが頭を撃ち抜かれて
床に伏した。撃ったのはチッキーだった。
そこへガットシャルの声が・・・「ホークを差し出せ!」
出血が止まらずもう先が無いと思ったホークは自ら出て行く決心をする。
最後くらいは恰好よく死なせろ
自分がスーパースターと普段から妄想癖のあるホークは
死に際までその妄想に酔っていた。拍手喝采の中でホークは銃弾を浴びて倒れる。
「殺ったぜ!」と歓喜に踊るビラムとルディ
ガットシャルが「行くな!」と制止する声が聞こえず飛び出して行くが
ザックが放った銃弾に倒れる2人。「親父!」と悲痛な叫び声をあげるルディに
止めを刺したのはザックの拳銃だった。
みるみるうちに悲愴感で顔が強張って行くバップ・ガットシャル・・・・
家の中では何が起こったか理解できないレイバン・フェザー・・・
再びセピア色の写真が何枚か映し出される。
まだ平和な頃だった両家の写真が。

撮影スナップより(1972年)
イメージ 8
イメージ 9
イメージ 10
イメージ 11
イメージ 12


原題はLOLLY MADONNA XXX だったが
XXXは手紙の「キスキスキス」を意味する。
だが映画業界ではXレイテッド、すなわち成人指定の
本番ハードコア・ポルノとなる。
危険を感じた製作のMGMは原作通りに
THE LOLLY-MADONNA WARと戻されたが、
北米版でリリースされたDVDはLOLLY MADONNA XXX版だった。

この作品でデビューしたシーズン・ヒューブリーは初々しくてよかったが
後は女優としてパッとしないで、TVムービーの『ザ・シンガー』で
共演したカート・ラッセルと結婚したが、早々と離婚してしまった。
他にハゲながら強烈な印象を残したエド・ローター
それに悪役で活躍する前の若かりし頃のゲイリー・ビジーも出ている。

シーズン・ヒューブリーが演じたロリ・マドンナ間違われたルニーが
中心に物語は展開すると思いきや、彼女の設定は単なる添え物程度にしかなく
ロッド・スタイガーとロバート・ライアンの大物俳優と
特にスコット・ウィルソンが扮したスラッシュと
エド・ローターのホークに重きを置いたストーリー展開で流れは悪くないが
ラストの終わり方が少々尻切れトンボのような印象を受けた。
ベトナム戦争の最中に製作された事もあって幾分反戦メッセージも兼ねた
アイロニーな味付けを施されていたかも。
イメージ 7



メトロ・ゴールドウィン・メイヤー製作

イメージ 2監督: リチャード・C・サラフィアン 
製作: ロドニー・カー=スミス 
原作: スー・グラフトン 
脚本: ロドニー・カー=スミス 
    スー・グラフトン 
撮影: フィリップ・H・ラスロップ 
音楽: フレッド・マイロー

 ロッド・スタイガー 
 ロバート・ライアン 
 ジェフ・ブリッジス 
 スコット・ウィルソン 
 シーズン・ヒューブリー 
 エド・ローター 
 ランディ・クエイド 
 トレサ・ヒューズ 
 ポール・コスロ 
 キール・マーティン 
 ゲイリー・ビジー
 ジョーン・グッドフェロウ



メトロカラー
パナビジョン(2.35:1)
英語モノラル
106分
日本公開1973年11月3日(MGM配給)
日本語字幕:岡枝慎二

1972(C)Turner Entertainment.All Right Reserved.


プライベート版:DVD
カラー・シネスコ(2.35:1)
英語(モノラル)ドルビー・デジタル
日本語字幕(ON/OFF可能)
106分・片面1層 非売品
イメージ 13


バードマン 無知とキムチ予期せぬネタバレ

$
0
0
イメージ 1

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)
Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance) 




第87回アカデミー作品賞/監督賞/脚本/撮影賞
の4部門を獲得した作品。
過去5年間のアカデミー作品賞に輝いた作品は
ハート・ロッカー』、『英国王のスピーチ
アーティスト』、『アルゴ』、『それでも夜は明ける
とジャンルは様々だがストレートな作品が多かった。
主人公の心理的描写をファンタジー的に捉えた作品の受賞は
昨今珍しい。そしてこれはコメディ映画だ。
イメージ 11
主演は惜しくもアカデミー主演男優賞の第一候補と絶賛されたが
オスカーを逃したマイケル・キートン
彼はティム・バートン版『バットマン』(1989)で主演をする一方
コメディ映画や悪役、ディズニー映画の声優と多才ぶりを発揮。
皮肉にもこの作品の主人公リーガン・トムソンも
過去に『バードマン』というヒーロ映画シリーズ三作で人気俳優
だった俳優だという設定。まさにこれはセルフコメディではないか!
マイケル・キートンが『バットマン』を演じた25年前と
しっかりオーバーラップするのが興味深い。




それに対するのが相手役エドワード・ノートン
シリアスな役柄が多い彼もマーベルのSFヒーローもの
インクレディブル・ハルク』(2008)では
主人公のブルース・バナーを演じた過去を持つ。

女性陣はナオミ・ワッツエマ・ストーン
特に最近は活躍めざましいエマ・ストーンも
アメイジング・スパイダーマン』2作では
ヒロインを演じている。



イメージ 2
監督はメキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
21グラム』や『バベル』で名を上げて、
ついに本作でアカデミー監督賞および脚本賞を獲得した。

主人公リーガン・トムソン(M・キートン)はかって人気映画
バードマンの主演俳優だったが、今は過去の名声も衰え、
夢よもう一度ということでブロードウェイの芝居に挑戦する。
だが彼は結婚生活も破綻していた。
元妻のシルビア(E・ライアン)は彼の元を去ったが
娘のサム(E・ストーン)は薬物中毒から回復したばかりで
リーガンのアシスタントをしていた。
そしてリーガンはブロードウェイの芝居小屋を借り切って
恋人のローラ(A・ライズボロー)と女優レスリー(N・ワッツ)と
「愛について語るときに我々の語ること」を自ら演出して
リハーサルに余念が無かったが、俳優のひとりが舞台で怪我をして
急遽代役を捜さなければならなかった。
それで白羽の矢が立ったのは人気舞台俳優のマイク(E・ノートン)
ギャラは高かったが、彼の名前でも客は集まる。
だが本公演の前に披露されるプレビュー公演で
マイクは勝手なアドリブで芝居をぶち壊したり、
リーガンのミスでパンツ一丁で舞台に上がったりと
プレビュー公演は散々な結果で終わってしまう。
しかもNYタイムズの舞台専門の批評家タビサ(L・ダンカン)
に最低な芝居だとの批評記事を書くと宣言されてしまう。
だが日頃から彼の心に囁いている声が実体化して
彼の目の前に現れる。それがバードマンだ。
そしてついに本公演の日がやって来た。
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9
イメージ 10


撮影は同じくメキシコ出身の『ゼロ・グラビティ』のエマニュエル・ルベツキ
全てワンカットで撮られているような魔法のような撮影
だがこれは編集のマジックでつなぎ目はCGで処理されて
あたかもワンカットでずっと続いているように思えるところが凄い。

音楽はバックにドラムスの音がずっと流れて、
フリースタイルのジャズで構成されている。

作曲は世界的なドラマー、アントニオ・サンチェズ
ワンカットだけ劇場の個室でドラムを叩いている男が現れる。
これは主人公の心のなかのイメージか?

冒頭でリーガンが娘サムに花屋に買い物に行かせている場面で
It all smells like fucking Kimchi!
(この花はキムチみたいな臭いニオイがするよ!)
という台詞が韓国で民族を馬鹿にしていると物議を呼んでいる。
イメージ 12
イメージ 13

WOWOWのアカデミー賞中継でゲストの寺島しのぶ
この作品の結末をバラして無知だ、常識ハズレだ、KYだ、
ネットや視聴者から非難が集中したが
予告編にはちゃんとラストシーンが入っている。
本作を観に行く予定の人は予告を観たらダメだ。



ニュー・リジェンシー
TSG エンターテインメント
FOXサーチライト

監督: アレハンドロ・G・イニャリトゥ 
脚本: アレハンドロ・G・イニャリトゥ 
    ニコラス・ヒアコボーネ 
    アレクサンダー・ディネラリス・Jr 
    アルマンド・ボー 
撮影: エマニュエル・ルベツキ 
編集: ダグラス・クライズ 
    スティーヴン・ミリオン 
音楽: アントニオ・サンチェス

 マイケル・キートン 
 エドワード・ノートン 
 エイミー・ライアン 
 エマ・ストーン 
 ナオミ・ワッツ
 ザック・ガリフィナーキス
 アンドレア・ライズブロー 


カラー
ヴィスタサイズ(1.85:1)
英語・119分
24ビット・ステレオ音響
2Kデジタル撮影
日本公開2015年4月10日
(20世紀フォックス映画配給)
日本語字幕:稲田嵯裕里


(C) 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

さらば浪速のグラインドハウス本日100円。

$
0
0
イメージ 1



西成区山王にあるトビタシネマ/トビタ東映
本日3月31日をもって休館となる。
ラストショーはシネマが『大脱走』、『ダーティハリー』、『最強のふたり
東映が『竜二』、『座頭市と用心棒』、『男はつらいよ』だった。
場所は阪堺電気軌道阪堺線今池駅から東へ150mほど、阪神高速松原線14号
の高架の近くにある。
新世界からはジャンジャン横丁を抜けて南に進んでアーケードの商店街を通り
左に折れて高架に出くわしたら左へ曲がって北へ20mくらいの場所にある。
連夜オールナイトで入場料は800円だが火・金は入場料は500円になる。


先週の水曜から今日までは映画三本立てで
『100円』!!
イメージ 3
これは宣材マニアならヨダレが出るのでは・・・
『ダーティハリー』は初公開時1972年のポスター
『大脱走』もリバイバルのものだが1970年ユナイトの宣材だ。



場所柄、労務者が多く簡易宿泊所代りに利用されている事も。
十年くらい前にリニューアルされて外見は古くて汚くなくはないのだが、
やはり館内はお世辞にも綺麗とは言えない。
椅子はボロボロでテープで補修されているが、かなり傷んでいる。
消防法で劇場内では喫煙は禁じられているが、ここではオープンだ。
場内にある「禁煙」のサインポストも字が見えないほど暗くなったいる。
あちらこちらで蛍のように煙草の火が見え紫煙が立つ・・・。
ある一定のマナーも守られているようで館内に入ると左右にゴミ箱が置かれており
飲み食いした缶や瓶や弁当の容器をそこへ投げ入れるようにしてある。
当然ほぼ男性客ばかりだが、中には女性も・・・違った、女装子(オカマ)だった。
中には席の取り合いで口論する輩もいる。
イメージ 2
本日のトビタシネマの場内。

ゴミひとつ落ちていない綺麗で全席指定のシネコンで
最新の映画を観ている大半の人間には
ここは別世界と思えるだろうが、妙に懐かしいこの独特の味を持つコヤはもう
今はほとんど存在しないだろう。言わばグラインドハウス
スクリーン中央をよく見ると誰かが飲み物を
白いスクリーンに向かって投げつけたのだろうか?
茶色い放射線状に広がったシミが上部にありその液が下に垂れたのだろう
真っ直ぐ真下に数本のシミも確認できる。

イメージ 4

一昨年に新世界国際劇場が映写設備をデジタル化されて現在も存命しているが、
こちらはまだフィルム上映で掛けられる作品が急速に減少しているのも
休館の大きな理由だと言えるのじゃないかと。
今日ここで鑑賞して久々にスクリーンの右側に出るチェンジマークを
確認して懐かしく思えた。

モギリのお兄さん(ここは券売機で切符は手売りせず)に
改装ですか?と尋ねたが「いや、そうでも・・・」と歯切れの悪い返事が。
やはり休館じゃなく閉館なのかな。


追記  やはり事実上の閉館だったらしいです。残念ですが。


5年前もこの劇場の事を書いてます。

野獣死すべし 仲代達矢

$
0
0
イメージ 1

野獣死すべし』(1959・東宝)

ハード・ボイルド小説の第一人者だった大藪春彦(1935-1996)
ガンマニアでクルマ好きの彼が早稲田大学に在籍中に発表した処女作が
この『野獣死すべし』(昭和33年発表)
江戸川乱歩に絶賛されて、やがて早稲田を中退して執筆活動に入る。
彼が文芸同人誌『青炎』に発表して小説誌『宝石』に転載されてこの世に出た
『野獣死すべし』は鋭利な頭脳と強靭な肉体をもつ青年伊達邦彦が実行する
現金強奪事件を通して、暗いロマンチシズムをたたえながら、
ひとりの人間が実行する反社会的な行為を徹底して冷徹な文体で
描いたこの作品は大きな衝撃をもって迎えられた。
伊達邦彦を主人公とした作品は『野獣死すべし 復讐編』(1960)、
血の来訪者』(1961)、『野獣は、死なず』(1995)など
その後の作家活動の主軸をなすシリーズとなる。

大藪原作の『野獣死すべし』は角川映画で松田優作主演、村川透演出による
1980年の作品が最も有名だが、最初に映像化されたのは須川栄三監督、仲代達矢による東宝作品が初めてだった。
1974年にも藤岡弘、の主演で『野獣死すべし 復讐のメカニック』が
製作されたが、こちらは『野獣死すべし・復讐編』の映像化。
1997年には廣西眞人監督で木村一八主演でオリジナルビデオ作品として
大映で製作されたが主人公は学生ではなく町工場の工員という設定に
変えられていた。
イメージ 2


原作の発表から映画化まで1年ほどしかないので設定は原作に
かなり近いものとなっている。
安保闘争の前年であり世相はかなり暗い。


「ゆがんだ社会への怒り 人間を信じられない苦しみ
 自分の未来に予想される暗い影
彼らは理性と常識で それを抑えてるだけで 
いつ何どき 殺人という いわばヒロイックな行動に
 身を委ねるかは 分かりゃしません」
伊達邦彦が新聞記者遠藤に語る「時代が創造した新しい犯罪者」論で
この内容は主人公自身の主張をセルフ分析されたものでいわば
真犯人自ら語った犯罪の動機である。

イメージ 10








飲み屋で警視庁捜査一課の刑事、岡田(瀬良明)とベテラン刑事の
桑島(東野英治郎)と若手刑事の真杉(小泉博)が酒を酌み交わしている。
だが岡田は帰宅途中に車で待ち伏せしていた男に22口径の自動拳銃で
射殺され、拳銃と警察手帳を奪われる。犯人は岡田の死体を乗って来た
シボレーのトランクに入れて人気のないトンネルに車を放置して
違う車に乗り換えてその場を去る。
岡田を殺した男は伊達邦彦(仲代達矢)で関東大学の大学院生だった。
ハードボイルド文学の杉村教授(中村伸郎)の翻訳アルバイトをする傍ら、
論文をアメリカのある財団の主催するコンクールに出して
留学の機会をねらっていた。
もしコンク-ルに入選するとハーバード大学に無償で留学できるからだ。
射撃部に属して、ボクシングジムにも通い同じゼミの女学生
妙子(団令子)というセックスフレンドもいたが同じ女とは三度以上は
関係を持たないというのが伊達の持論であった。
岡田刑事の死体が発見されて、桑島や真杉は犯人の手掛かりを追ったが、
依然物的証拠もない完全犯罪に近い犯行に手を焼いていた。
伊達が岡田を襲って拳銃と警察手帳を奪ったのは国際賭場組織の
マンドリンを襲って自身の留学資金を貯める計画だったからだ。
伊達は賭場組織のボス、チャーリー陳(中村哲)を襲い
ボディガードの三田(佐藤允)を失神させて売上金を奪う。
後日、銀座で三田と同じボディガードの安(西村潔)に出会った伊達は
顔見知りのゲイボーイを連れて車を盗んで逃走するが、三田と安に追われて町はずれの工場跡でゲイボーイを盾に安と三田を射殺する。
伊達は岡田の拳銃をゲイボーイの死体に握らせて車に火を放ち現場から逃走する。
警視庁は岡田殺しはやくざの抗争のもつれと判断してその線で捜査を開始する。
ただ納得いかない真杉は新聞記者の遠藤(滝田裕介)が持ってきた
この事件に対する論文に注目する。
その論文を書いた人物こそが関東大学の大学院生、伊達邦彦だった。
偶然にも真杉は恋人の洋子(白川由美)が勤める洋酒喫茶で花売りの老婆を
金であかして踊らせようとする伊達の行動を目にしたばかりだった。
真杉は「犯罪捜査は科学だ」という捜査一課長の指標を無視して伊達邦彦こそが
真犯人と断定して彼の身辺を洗い始める。
伊達の計画の最終項は自分の通う大学、関東大学の入学金を集まる日の夜に
経理室を襲って入学金を奪うことだった。
病気と貧困のために関東大学を月謝を払えず除籍処分になった
元学生の手塚(武内亨)を仲間に引き込み拳銃で武装して関東大学に忍び込む。
まず伊達は宿直の杉村教授たちがいる研究室にダイナマイトを
投げつけ恩師を爆死させて騒ぎを起こして経理室にいた経理課員や
警備の警察官を皆殺しにして現金二千万を奪う。
その帰りに手塚にも睡眠薬を盛って車ごと海に落下させて共犯者も消してしまう。
まんまと自分のアパートに戻って来た伊達は杉村教授からの速達を
郵便受けで見つける。
それは財団の主催するコンクールに伊達が入選して奨学金が
貰えてハーバードへ留学できるという朗報だった。
もっとこれを早く知ってればと二千万入りの鞄を持って苦笑いする伊達邦彦。
アパートの部屋では妙子がベッドの上で座っていた。
妙子にはアパートの住所は知らせていなかったが・・・。
ラジオで聞いたわ 爆破されたんでしょ研究室が。あんたがやったのね
わたしはあんんたのそんなケダモノのような残酷なところが好きだったのよ

俺もね 君だけには勘付かれると思ってたんだよ
妙子は伊達の子供を中絶したことを告げる「私だって人殺しなのよ」
そこへ桑島や真杉たちがやって来たのだ。
「今日の七時ごろ 君はどこにいたんだ?」
「どこに居ようと僕の勝手でしょう」
すかさず妙子がアパートで一緒に居たとアリバイを証言してしまう。
真杉たちは伊達の前のアパートの捜査令状しか持ってないのを
伊達に読まれてしまって
引き上げるしかなかった。伊達は二千万入りの鞄を妙子に渡して
やるよ 使えよ いらなくなったんだ
羽田空港からパンアメリカン機で伊達邦彦は日本を後にしていた。
真杉は桑島に敗北感をこぼすが
完全犯罪なんて成立せんよ。証拠が出たら電話一つであいつは捕まるんだ……
野獣に待ち構えているのは死刑台さ

桑島や真杉たちは羽田に来ていた妙子の姿を見つけ後を追うのだった。



この大藪春彦の小説のタイトルは、ニコラス・ブレイクが発表した
復讐譚の小説をもとに付けられた。
そちらはクロード・シャブロルによってフランスで映画化されている。

実は映画は主人公がまんまと海外へ逃亡するシーンで終わっていたが
当時の映倫がクレームをつけて、東野英次郎の桑島刑事の台詞と
二千万入りの鞄を持った妙子の姿を追うラストが付加されている。
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7
イメージ 8

小説では冒頭の岡田刑事を襲う拳銃は
コルト・ハンツマン(22口径)が使われていたが
撮影当時はそんな競技ピストルのモデルガンもステージガンもなくて
スミス&ウエッソン型の自動拳銃のステージガンが使われていた。
三田(佐藤允)が持っていて伊達が奪って手塚が関東大学で発砲する
拳銃はドイツのモーゼルHSC。拳銃を奪われた三田が次に使うのは
スターム・ルガーとおぼしき小口径銃。
また三田と組んで伊達を狙う殺し屋に扮しているのは
加山雄三と組んで『豹は走った』などで東宝ハードボイルドの何本か監督している
西村潔監督の若き姿だった(TVでは「探偵物語」「大追跡」や「ハングマン」など)
酒場のシーンではボンドガール、若林映子の新人の頃の姿も見られる。


イメージ 9東宝映画製作

監督: 須川栄三 
製作: 藤本真澄 
    金子正且 
原作: 大藪春彦 
 「野獣死すべし」
脚本: 白坂依志夫 
撮影: 小泉福造 
美術: 浜上兵衛 
編集: 兼子玲子 
音楽: 黛敏郎

 仲代達矢
 小泉博
 団令子
 白川由美
 佐藤允
 三好栄子
 横山道代
 清水一郎 
 白坂依志夫
 中村伸郎
 東野英治郎
 滝田裕介 
 武内亨
 加藤春哉
 桐野洋雄
 瀬良明
 中村哲
 田武謙三
 谷晃 
 佐田豊 
 若林映子 
 千葉一郎

モノクロ(キヌタ・ラボラトリー)
東宝スコープ(2.35:1)
パースペクタ立体音響
99分
1959年6月9日公開

1959(C)東宝/TOHO CO.LTD.

盗め! 『ファイヤーフォックス』

$
0
0
イメージ 1

ファイヤーフォックス』(1982)
 FIREFOX

クリント・イーストウッドの8本目にあたる監督作品。
イギリスの作家クレイグ・トーマスが1976年に起こったソ連のパイロット
ベレンコ中尉亡命事件(ミグ25事件)をヒントに書き上げ、1977年に発表した
サスペンス小説の映画化。
1980年、イーストウッドは度重なる監督作の興行不振や私生活のトラブルで
スランプに陥り、1981年は1本も映画に出ていない。
彼は暗中模索し、違う企画で復帰する予定が流れて、急遽この作品を演出、
主演することとなった。アメリカ国防省や空軍、海軍、海兵隊の全面協力を得て、
製作費は200万ドルも費やしたが、それまでのイーストウッド作品では
最高の収益を上げる好結果となった。

ファイヤーフォックス二号機に追われて谷間を逃げる場面は
スター・ウォーズ』でのデススター攻撃場面を連想させる。
しかもロシア語で呟くのはオビワンからのメッセージのようだ。



背景はロナルド・レーガン大統領の冷戦時代でソビエト軍による
アフガニスタン侵攻によりモスクワオリンピックを西側がボイコットした
新冷戦」時代の真っ最中にこの作品は製作された。
ソビエトの町並みはオーストリアのウィーンでロケされて
セットはロサンゼルスのスタジオとグリーンランドの米空軍基地で撮影。
撮影からSFXの合成、編集まで約1年かけて製作された。
イメージ 2
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9

イギリスMI6の諜報員ケネス・オーブリー(フレディ・ジョーンズ)は
ソビエト連邦が最新鋭戦闘機ミグ31を開発、近日中にソ連首脳陣の前で
この戦闘機のテスト飛行をするという情報を入手した。
音速の6倍で飛行し、レーダーに影すら残さないソ連の戦闘機ミグ31
(コードネーム:ファイヤーフォックス)がソビエト空軍の配備されれば
東西の軍事バランスは大きく崩れる事を恐れた
NATO(北大西洋条約機構)加盟国は
ソビエト国内からこの戦闘機を盗み出す作戦を企てる。
その実行者はかってベトナム戦で活躍した優秀なパイロットであった
ミッチェル・ガント(クリント・イーストウッド)が選ばれる。
ファイヤーフォックスには思考誘導装置が装備されてあり
ロシア語が堪能なガントは適任だった。
輸出代理業者になりすましてガントがモスクワのシェレメティエボ空港に降り立つ。
その夜、ガントはビリアルスクヘ送り込んでくれる
ぺイベル・ウペンスコイ(ウォーレン・クラーク)に会う。
だが、尋問してきたKGB局員をガントは殺してしまう。
翌朝、トラック運転手を装ったガントらは、偽造した通行証を手に目的地へ向かう。
途中でトラックを飛び降りたガントは、ファイヤーフォックス設計の中心的科学者で
今回の作戦の協力者であるセミロフスキーと、
ピョートル・バラノビッチ(ナイジェル・ホーソーン)、
そして彼の夫人であるナタリアに会う。
KGBは、中央記録コンピューターの膨大な資料をもとに、
KGB局員殺害の犯人の正体がガントであることをつきとめる。
だが、その報告がKGBのコンタルスキー大佐のもとへ入った頃、
ガントたちも最終行動に入っていたた。
格納庫の機材に火をつけ、混乱に乗じてパイロットに変装したガントが
ファイヤーフォックスを外へ出し、そのまま飛び立っていった。
ソ連の書記長はファイヤーフォックスの国外脱出を防ぐべく、
ファイヤーフォックス2号機に後を追わせる。
ガントの乗ったファイヤーフォックスは計画通り、燃料のきれる直前、
北極の氷原に着陸しアメリカ海軍の潜水艦から燃料の補給を受け、
最終目的地へ向かおうとする。
2号機は、遂に彼の機を発見、両機による壮絶なドッグ・ファイトが
北極海で展開する。ガントは手に汗握る交戦の末、
ファイヤーフォックス2号機を撃墜した。

後半に展開するファイヤーフォックスの飛行シーンやドッグファイトのSFXを
担当したのは『スター・ウォーズ』のジョン・ダイクストラ
まだCGによる特撮ではなく光学合成によるブルーバック合成だが
現在でも通用する高度なテクニックで撮影されている。
音楽は巨匠モーリス・ジャールが起用されダイナミックな劇伴が流され
撮影はイーストウッドと組むことが多いブルース・サーティース

イメージ 13
『ファイヤーフォックス』撮影中のイーストウッドとB・サーティス。



尺は137分、ソビエトに潜入して盗み出すまでの前半がすごく長く感じる。
DVDやビデオは125分版が流通していた。
これはイーストウッド自身がケーブルテレビ用に自ら編集した版らしい。


イメージ 10
イメージ 11
実はパイロットに扮するのは初めてではない。
上は『ファイヤーフォックス』のイーストウッド。
下は『タランチュラの襲撃』(1955)のイーストウッド。



ファイヤーフォックスの最高速はマッハ6(時速2041km)
海上を低高度で飛ぶと衝撃波で水しぶきがあがり、
山中を抜けると樹木が薙ぎ倒される。
ガントはソビエトのミサイル攻撃をソビエトの偵察機を撃墜することにより
その爆破熱を利用することにより熱探知ミサイルをかわす。
また巡洋艦から発射されたミサイルも超高速で振り切る。
Boy,is this a Machine!(イカすマシンだぜ!)とつぶやく。






イメージ 12ワーナーブラザーズ映画
マルパソ・カンパニー
監督: クリント・イーストウッド 
製作: クリント・イーストウッド 
製作総指揮: フリッツ・メインズ 
原作: クレイグ・トーマス 
脚本: アレックス・ラスカー 
    ウェンデル・ウェルマン 
撮影: ブルース・サーティース 
特撮: ジョン・ダイクストラ 
音楽: モーリス・ジャール

 クリント・イーストウッド
 デヴィッド・ハフマン
 ウォーレン・クラーク
 フレディ・ジョーンズ 
 ロナルド・レイシー 
 ステファン・シュナベル 
 ディミトラ・アーリス


デラックスカラー
パナビジョン(2.35:1)
英語
ドルビー・ステレオ
137分
日本公開1982年7月17日公開
(ワーナーブラザーズ配給)
日本語字幕:戸田奈津子




FIREFOX  © 1982 Warner Bros. Inc.





奪え!『ブルーサンダー』

$
0
0


イメージ 1
イメージ 2
イメージ 3


ブルーサンダー』(1983)
BLUE THUNDER

サタデー・ナイト・フィーバー』で知られるジョン・バダムが監督した
サスペンス活劇映画。
主演はロイ・シャイダー、敵役にマルコム・マクダウェル
『アメリカン・グラフィティ』のキャンディ・クラーク
そしてウォーレン・オーツの遺作となった。
脚本にはダン・オバノンも参加している。

作品に登場する特殊攻撃ヘリ・スペシャル(ブルーサンダー)のイメージ作りで
監督やスタッフは候補に挙がったヘリはどれも曲線的な流線型のデザイン
ばかりで最終的にユーロコプター製SA341をベースに戦車のように改造された。
実際は重量があり映画のようなスムーズな飛行が難しい
扱いにくいヘリが出来上がった。
イメージ 10
フランスで開発されたSA 341をベースに改造。

イメージ 11
こちらはコクランがこれで追うOH-6 CAYUSE







イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7

LA市警航空課でヘリコプター・パトロールをやっている
マーフィー(ロイ・シャイダー)は、
一匹狼的な性格のため周囲のうけはよくない。
課長のブラドック(ウォーレン・オーツ)から
事あるごとに注意されている。マーフィーは新人の若い
ライマングツド(ダニエル・スターン)と組んで、夜のLA上空をパトロールする。
酒屋強盗を上から追跡して、ライトを犯人に当て逮捕に協力する。
リンデン・ロードでナンバー・プレートのないシェヴィを発見して本部に通告。
シェヴィは、自宅にもどって来た都市暴力対策委員長ダイアナ・マクニリーの
後をつけてドライヴ・ウェイに入り込む。
シェヴィの中から男たちが出て来て、彼女を襲い書類を奪う。
警官隊が駆けつけ、マーフィーらも急行する。
この事件は彼女を強姦しようという目的でなされたものとして片付けられた。
ブラドックはマーフィーを連邦政府の2人の役人、アイスランとフレッチャーに
引き合わせる。
マーフィーは彼らと一緒にピンクヴィル軍基地に行く。
そこで、マーフィーは新型ヘリコプターブルーサンダーのデモ・フライトを見る。
来たるLAオリンピックでのテロ対策用に作られたというブルーサンダーは、
強力な火器、コンピューター、盗聴マイク、
パイロットがかぶったヘルメットの動きで弾丸が発射される装置がついている。
マーフィーはこのブルーサンダーのテスト・パイロットに選ばれたのだ。
軍側の責任者コクレイン大佐(マルカム・マクダウェル)は
マーフィーがパイロットと知ると怒る。
二人はベトナムで一緒に闘った仲だが、なんとなく険悪な感じ。
翌日、マーフィーはマクニーリー邸から拾った書類に書かれたスペイン語の解読を、同僚のモントーヤに頼む。
マーフィーとライマングッドはヘリコプターに乗り、
コクレインのヘリコターに続いて上空へ。
しばらく飛んでいるうちに、マーフィーらのヘリコプターが揺れ出す。
コクレインが秘かに部品をゆるめていたのだ。
マーフィーは落ちついて、ヘリコプターを操縦。
ヘリコプターは建築現場に落下し大破したものの、二人は無事だった。
モントーヤはマーフィーに書類にはスペイン語地区で
何か騒動が起きると書いてあり、
THORという意味不明の語があったことも告げる。
その後、マーフィーとライマングッドはブルーサンダーに乗り夜の空を飛ぶ。
コンピューターにコクレインのことをイン・プットすると
THORプロジェクト
(Tactical Helicopter Offensive Response 戦略ヘリコプター攻撃レスポンス)に従事と出た。
ブルーサンダーは、コクレインの車をつけ、連邦ビルでコクレインやフレッチャーが
スペイン語地区でトラブルを起こそうとしていること、
邪魔なマーフィーを消そうという相談を盗聴マイクで聴き、テープに録音する。
そのテープをライマングッドはドライヴ・イン劇場のごみ箱に隠す。
一方、コクレインたちはテープの行方を知ろうとして、
ライマングッドをいためつけるが、聞き出せない。
ライマングッドはすきを見て逃げ出すが、追手に轢き殺される。
参考人として警察に追われるマーフィーは、
別居中の妻のケイト(キャンディ・クラーク)に
ドライヴ・イン劇場のゴミ箱からテープを手に入れ、
KBLA・TVに運ぶよう頼む。自分はブルーサンダーに乗り護衛する。
ブルーサンダーを追いモントーヤの乗った市警のヘリコプターや空軍機がやってくるが、マーフィーにかわされる。
そしてコクレインの空軍ヘリコプターと空中戦となる。
コクレインはベトナムの空で敵の兵士をつき落した残酷な男で、
マーフィーはその時のパイロットだったのだ。
マーフィーは傷つきながら、コクレインのヘリコプターをやっつける。
ケイトは追ってくるパトカーをかわしてKBLAに行き、
プロデューサーにテープを渡す。
一方、マーフィーはブルーサンダーを進行する列車の前に置き去りにしたので、
ブルーサンダーは大破してしまう。
(キネマ旬報より)

前回の『ファイヤーフォックス』と何点か共通点が見受けられる。
まず主人公はガントもマーフィーもベトナム戦争の後遺症PSTD)に
悩まされている。ガントは捕虜になった際に友軍の放ったナパーム弾で
ベトナム人の少女が焼け死ぬのを目撃して脳裏から離れない。
マーフィーもベトナムで自分が操縦していたヘリで捕虜に取った北ベトナム兵を
生きたまま空中から投げ落としたコクレインにショックを受けトラウマ
となっている。
また『ファイヤーフォックス』ではソビエト側が放ったミサイルを
ソビエト偵察機を破壊して爆発熱を利用してミサイルを回避したが
『ブルーサンダー』に至ってはロサンゼルス上空で
空軍のF16に攻撃されたマーフィはリトル東京の焼き鳥工場の煙突や
太陽の熱で熱くなっている高層ビルの窓を使って誤爆させて
熱感知ミサイルから回避
している。
『ファイヤーフォックス』ではクライマックスでは
ファイヤーフォックス1号機を追うファイヤーフォックス2号機との
ドッグファイト。

『ブルーサンダー』ではマーフィが奪ったスペシャルを
コクランが機銃2丁を装備した軍用型OH-6 カイユースで
ロサンゼルス上空で死闘を繰り広げる。


そしてなんと『ファイヤーフォックス』本編には
『ブルーサンダー』スペシャルのコックピットが使用されていた。
イメージ 8
FIREFOX  © 1982 Warner Bros. Inc.




TV版の『ブルーサンダー』(1984)
映画版とは設定も登場人物も関連はない。
イメージ 9



マーフィーが使うカシオのデジタル時計。
イメージ 12














昨年公開の『イコライザー』(2014)でも時計の種類は違うが小道具として、
デンゼル・ワシントンが使っていた。
イメージ 13












実は『イコライザー』の製作者のジェイソン・ブルメンタル
『ブルーサンダー』のリメークを準備中だとか。
それでこんなシーンが出てきたのかと納得。




コロムビア映画
ラスター・ピクチャーズ提供
監督: ジョン・バダム 
製作: ゴードン・キャロル 
製作総指揮: フィル・フェルドマン 
     アンドリュー・フォーゲルソン 
原案: ダン・オバノン 
    ドン・ジャコビー 
脚本: ドン・ジャコビー 
    ダン・オバノン 
    ディーン・リーズナー 
    (ノンクレジット)
撮影: ジョン・A・アロンゾ 
編集: エドワード・M・エイブロムス 
    フランク・モリス 
音楽: アーサー・B・ルビンスタイン


 ロイ・シャイダー
 ウォーレン・オーツ
 キャンディ・クラーク
 マルコム・マクダウェル
 ダニエル・スターン
 ポール・ローブリング
 デヴィッド・シェイナー
 ジョー・サントス

テクニカラー
パナビジョン(2.35:1)
英語
ドルビー・ステレオ
109分
日本公開1983年10月1日
(コロムビア映画配給)
日本語字幕:野中重雄

BLUE THUNDER 1983  © Columbia Pictures Industries, Inc.

※『ブルーサンダー』ブルーレイ(SPE)の特典映像を参考にしております。



ロサンゼルス壊滅!『大地震』

$
0
0
イメージ 1



大地震』(1974)
Earthquake

あなたは震動する迫真の驚異!
特殊音響装置=センサラウンド方式上映
ロサンゼルスを襲う壊滅的大地震を背景に描く現代のパニック!!


脱走特急』などアクション映画で定評のある
マーク・ロブソンが監督したパニック映画。
ユニヴァーサルは1970年に航空パニック映画である
大空港』を発表してヒットをして、この作品は
エアポート」シリーズとして計4作が製作されたが、
この『大地震』はもっとスケールアップして
ロサンゼルス全域が大地震に襲われて半壊滅する
模様を描いた超大作に仕上がっている。
主演は大作映画ならこの俳優と、チャールトン・ヘストン
チャールトン・ヘストンはこの年にエアポートシリーズの
第二作目、『エアポート'75』にも主演して
日本では12月にヘストン主演のパニック巨編が
2作も公開されるという興行になった。
(『大地震』は東宝洋画系、『エアポート'75』は
松竹東急系で封切された。配給はどちらもCICが配給)
共演は往年の美女、エヴァ・ガードナー
それに『1000日のアン』のジュヌビエーブ・ビジョルド
そしてヘストンと共に『エアポート'75』にも出演している
ジョージ・ケネディ(彼はエアポートシリーズ全作に通しで出演)
ほかにローン・グリーンや『黒いジャガー』のリチャード・ラウンドトゥリー
ヴィクトリア・プリンシパルなど。
酔っ払い役でカメオ出演はウォルター・マッチャンスカヤスキー
実はこれが本名のウォルター・マッソーだった。

イメージ 2




脚本はジョージ・フォックスと『ゴッドファーザー』のマリオ・プーゾ
撮影監督は名匠フィリップ・H・ラスロップ 
そして音楽はいかにもパニック映画でございという旋律を書いた
ジョン・ウィリアムズ
本編は35mmパナビジョンで撮影され大型劇場では70mmに
ブローアップされて上映された。
そしてMCAとユニヴァーサルの技術陣がこの映画のために開発したのが
センサラウンド」方式。( Sensurround )
Senses(感覚)と包囲(Surround)を足した造語だが
70mmおよび35mmの磁気プリントに低周波のコントロール信号を記録して
超低域だけ再生できるスピーカーを16個を観客の前後左右に
配置して再生、劇場内の空気を振動させて地震の地響きを再現しようという
音響システム。再生する劇場のアンプはトータル2000wにもなり
他の劇場が入っているビル劇場では苦情も続出した。
以降『ジェット・ローラー・コースター』や『ミッドウェイ
宇宙空母ギャラクティカ』などでもセンサラウンド上映されているが
システムが大掛かりなため4本で打ち止めになっている。
『大地震』は1980年にも再公開されているけどその時は
35mm光学サウンドトラックによるセンサラウンドが使用されたらしい。
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5

(上)センサラウンド上映の注意書き
「観客が視覚的・物理的にショックを受けても劇場側は責任は負いませんとある」
(中)スクリーン側のセンサラウンド用LFEスピーカー
(下)センサラウンドシステムのコントロールパネル

2006年に海外でシネラマスクリーンで『大地震』がセンサラウンド上映された時の
動画があるので雰囲気だけでも味わってくだされ。



北米版と日本でも発売されているブルーレイディスク
第二音声トラック(DTS・ロッシー)にはセンサラウンド信号
収録されているが、これを家庭で完全に再現するのは
かなり難しい。防音装置がついた部屋で大容量AVアンプで鑑賞できる
環境じゃないと無理っぽい。
ただスーパーウーファの付いたホームシアターシステムなら
地響きなどは結構、迫力があるのでお試しを。
(DVDはノーマルの4.1chサラウンドだからご注意)
冒頭から52分くらいまでは全くセンサラウンドは稼働しませんので
そこまではDTS-MAロスレス5.1チャンネルで音声再生をおすすめ。
イメージ 6

1974年の暮れに大阪ミナミの南街劇場で鑑賞。
通路やスクリーン下にもタンスのようなスピーカーが置かれて圧巻だった。
それ以上に凄いのがやはり地震のシーンのセンサラウンド音響。
年が明けて南街ビルの3階にあった南街シネマで
キャンディス・バーゲン主演の
新・おしゃれ泥棒』を鑑賞したが『大地震』のセンサラウンド
足元から伝わったのは辟易してしまった
数年後に同じ南街劇場で『ミッドウェイ』(1977)を観たが、『大地震』より
ボリュームが絞られていたみたいだった。

イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9
イメージ 10
イメージ 11
イメージ 12
イメージ 13
イメージ 14
ハリウッド貯水ダムを見下ろすロサンゼルスの高級住宅地に朝が訪れる。
建築会社の副社長スチュワート・グラフ(チャールトン・ヘストン)は
40を越したばかりの働きざかり。
一見何不自由ない暮しのように見えるがグラフには重苦しい悩みがあった。
それは妻レミー(エヴァ・ガードナー)と離婚寸前の状態だったからだ。
レミーは夫が出世したのは、彼女の父親サム・ロイス(ローン・グリーン)が
建築会社の社長で、彼を引立てたからだと思い込み、彼を軽んじてきた。
しかも最近になってグラフが、事故で殉職した同社の技師の未亡人
デニス・マーシャル(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)と息子のコリーを
それとなく面倒を見ていることを知って嫉妬に狂っていた。震度3の地震が襲ったのはそんな朝だった。
カルフォルニアの地震研究所では科学者たちが朝の地震について
データを調べているうち、途方もない大地震が起こることを予測した。
それは2回目の余震後、48時間以内に発生し、
そのエネルギーは広島と長崎の原爆を合わせた以上の威力を持つというものだ。
ストックル博士(バリー・サリヴァン)が市長に連絡したあと、
2度目の余震が起こった。
一方、グラフは会社でロイスから社長の座をゆずることを聞かされたが、
ちょうどそこに入ってきたレミーの言葉からそれがレミーの
差し金だったことに気づき、部屋を出た。
レミーがあとを追ってビルの外に出たとき、
予測通りの史上最大の大地震が遂にロサンゼルスを襲った。
それはまさにマグニチュード8以上の激震だった。
グラフは、恐怖のあまり身動きできないレミーを車の下に引きずり入れ、
超高層ビルの中の自分のオフィスに駆け込んだ。
すさまじい地鳴りと振動で地割れと同時にビルも住宅もみる間に崩れ、火災が発生。
ロスの街は一瞬のうちに大混乱に陥った。
その頃、デニスは行方不明の息子コリーを探していた。
そして水の流れていない河底の砂利の上に気絶しているコリーを発見した。
河底に降りたデニスはコリーを河岸の上に持ち上げようとするが手が届かない。
その間も切断された高圧電線がスパークしてはねている。
ふと見ると水量調節で放流されたダムの水が上流から迫ってくる。
もし電流に水が触れたら母子の命はないのだ。
ちょうどそのとき、近くでオートバイの曲乗りを
やっていたアイルス(リチャード・ラウンドツリー)と
サルがデニスの悲鳴を聞いて、かろうじて母子を救出した。
放送局の全滅で市当局と市民のコミュニケーションも絶えがちだった。
警官ルー・スレード(ジョージ・ケネディ)は
混乱を鎮めようと必死の努力を続けていた。
一方、ウィルソン・プラザの診療所では
バンス医師が運ばれてくる負傷者の処置に追われていた。
コリーは快方に向かい、サム・ロイスは心臓麻痺で死んだ。
さらに余震が大地をゆるがせる。
さすがのウィルソン・プラザ・ビルも轟音と共に崩れ落ち、
地下に収容されていた何百人かが生き埋めになった。
救急診療所の出口は完全にふさがれた。
ビル構造に精通するグラフは勇敢なスレードと
共に早速さく岩機を使って必死の作業にとりかかった。
数十分後地下室に通じる穴をあけることに成功した。
その中にはデニスもコリーもいた。
二人の抱擁を生存者の群れの中でレミーが見ていた。
コリーとデニスがまっ先に運び出され、皆は先を競ってそれに続いた。
そのとき、またも余震が起こり、ハリウッド・ダムに致命的な打撃を与えた。
決潰したダムの水は洪水となってロスの下流の街をのみこんだ。
家は木っ端みじんとなって流れ、何百人という人が濁流の中に消えた。
ウィルソン・プラザの地下室にいた人たちは殆ど外に逃れたが、
一部分の人とレミー、そしてスレードとグラフは最後の救出と脱出に懸命だった
不気味な水の流れる音が脱出路の下水溝に聞こえてきた。
ダムの洪水があっという間に何人かの生存者をのみこんでしまった。
脱出可能なグラフは一瞬とまどいマンホールの上のデニスを見上げた。
しかし、グラフはレミーのあとを追って濁流に飛び込んだ。
そしてレミーの体を浮かび上がらせようとしたとき、
もろくなった天井の一部が二人の頭上に落ち、二人の姿は水の中に消えた。
その二人を助けるすべのないスレードは地上にない出た。
(キネマ旬報から)

絶世の美女だったエヴァ・ガードナーも撮影当時は52歳。
実年齢より老化が早く感じてその上に太って醜悪だった。
ヘストン演ずる技師が妻よりも若い女に走るのは仕方がないなぁと
感情移入してしまう。
イメージ 15

ビクトリア・プリシンパル演ずるカーリーヘアの若い娘ローサが
映画館で居る時に地震が起こりスクリーンに映っている映画のプリントが
焼けてしまう。その映画は?『荒野のストレンジャー』(1973)
クリント・イーストウッドユニヴァーサルは険悪な状態
この年に製作した『アイガー・サンクション』を最後にイーストウッドは
マルパソのオフィスをワーナー撮影所に移した。
これはユニヴァーサル側からのイーストウッドに対する嫌味と取れるのだが・・・。
TVバージョンでは地震のパニック映像が付加された
エクテンデッド版(160分)も存在するらしい。


ユニヴァーサル・スタジオ製作

監督: マーク・ロブソン 
製作: マーク・ロブソン 
製作総指揮: ジェニングス・ラング 
脚本: マリオ・プーゾ 
    ジョージ・フォックス 
撮影: フィリップ・H・ラスロップ 
特殊効果: アルバート・ホイットロック 
プロダクションデザイン: アレクサンダー・ゴリツェン 
美術: E・プレストン・エイムス 
編集: ドロシー・スペンサー 
音楽: ジョン・ウィリアムズ

 チャールトン・ヘストン
 エヴァ・ガードナー 
 ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド
 ジョージ・ケネディ
 リチャード・ラウンドトゥリー
 ローン・グリーン
 バリー・サリヴァン
 マージョー・ゴートナー
 ロイド・ノーラン
 ヴィクトリア・プリンシパル
 モニカ・ルイス
 ペドロ・アルメンダリス・Jr
 タイガー・ウィリアムズ
 ジョン・ランドルフ
 ウォルター・マッチャンスカヤスキー
 (ウォルター・マッソー)

テクニカラー
パナビジョン(2.35:1)
70mm(ブローアップ/2.20:1)
磁気トラック4ch/6ch
センサラウンド方式
122分
日本公開1974年12月14日
(ユニヴァーサル映画=CIC配給)
日本語字幕:高瀬鎮夫

EARTHQUAKE
 © MCMLXXIV BY UNIVERSAL PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.




鎮火せず 『タワーリング・インフェルノ』

$
0
0
イメージ 1

タワーリング・インフェルノ』(1974)
THE TOWERING INFERNO


パニック映画ブームも真っ最中に製作されて世界で大ヒットを記録した
タワーリング・インフェルノ』も来月で日本公開から40年目を迎える
アメリカでは74年のクリスマスシーズンに公開され
日本では半年も寝かされて観客を焦らせての大ヒット。
映画館を何館もブッキングしての拡大公開のはしりとなった。
いわゆる「ブロックバスター映画」時代の到来だった。
その先鞭をつけたのは74年に公開され社会現象を巻き起こした
ワーナー映画の『エクソシスト』(1973)だと言われている。
この『タワーリング・インフェルノ』も配給はワーナーブラザーズだった。
1400万ドルの製作費を1社でまかなうのは荷が重すぎる。
たまたま20世紀フォックスワーナーブラザーズで同じような内容の作品が
製作準備に入っていたが、このメジャー会社が手を組んで共同で製作することで
潤沢な資金と大スターを揃える事が実現した
北米での配給は20世紀フォックス海外ではワーナーブラザーズが担う事で
合意して企画が進行した。製作はアーウィン・アレン
アレンは20世紀フォックスで『地球の危機』や『失われた世界』を演出して
テレビの『海底科学作戦』や『タイム・トンネル』などを手掛けた。
そして72年に『ポセイドン・アドベンチャー』を製作して大ヒットを飛ばす。
この実績を買われて『タワーリング・インフェルノ』の製作を任された。
脚本にスターリング・シリファント、音楽にジョン・ウィリアムス
主題歌はモーリン・マクガヴァンが歌っているのは
全く『ポセイドン・アドベンチャー』と同じ流れなのだが、
大きく変貌したのは俳優のキャスティングだった。
起用されたのはハリウッドでは共にトップのこの二人
スティーブ・マックィーンポール・ニューマン
もう両人とも鬼籍に入ってしまったが、
登場時間はニューマンの方が長いが、ギャラはほぼ同じと言われている。
ただマックィーンがニューマンと同じ台詞の数を要求したと伝えられたが、
日本ではマックィーンの方が上に扱われたのは否めない。
他はウィリアム・ホールデン、フレッド・アステア、フェイ・ダナウェイ、
ジェニファー・ジョーンズ、ロバート・ワグナー、リチャード・チェンバレン、
ロバート・ヴォーン、O・J・シンプソン
など豪華な顔ぶれが集められた。
またでマックィーンに助けられる若い消防士役のスコット・ニューマン
ポール・ニューマンの実の息子だ。

イメージ 2




70年代に製作されたパニック映画では最高峰に位置づけられ(製作費も興行収入も)
CGが容易に使える今でもこれほどの俳優を起用したスケールの大きい作品は
製作されていない。
当初はフェイ・ダナウェーの役はキャサリン・ロス
ナタリー・ウッド(ロバート・ワグナー夫人)でオファーされていたとか。
アーウィン・アレンも『ポセイドン・アドベンチャー』と
本作で頂点に登り詰めたが転落も早かった。
この後はワーナーからオファーが続いて
殺人蜂のパニック映画『スウォーム』(1978)でしくじり
ポセイドン・アドベンチャー2』(1979)もコケて
極めつけはポール・ニューマンやジャクリーン・ビセットなど
オールスターキャストの『世界崩壊の序曲』(1980)で「崩壊」してしまった。


スタッフも同様でこれはほぼ20世紀フォックスの映画と言える。
撮影は20世紀フォックス撮影所で主要場面が撮影されて
(8番、6番、16番ステージ)
現像もフォックス作品をほとんど手がけたデラックス現像所が使われた。


拡大公開につきプリントも100本以上が用意されたが
70mmプリントは配給されなかった(アメリカでは70mm上映もあった)
それは日本での配給網の違いで、もし20世紀フォックスならば
東宝洋画系で公開されたはずで有楽座やテアトル東京
(大阪なら南街劇場や梅田OS劇場)で70mmやシネラマで上映されたはずだ。
ただワーナーブラザーズは60年代半ばから松竹・東急系で専門に配給を行っていて
エクソシストのように拡大公開するにはプリントの数を揃えないと駄目なので
35mmで揃えたと推測される。この年の暮れに記録的ヒットした
スピルバーグの『JAWS ジョーズ』も全く同じ形態で拡大公開されている。
おそらく上映が終わってプリントが戻って来ても70mmは保管に困るのと、
地方や都市部の2番館や3番館には70mmは供給できないと判断したからだろう。
35mmの磁気4チャンネルステレオのプリントが各劇場に回された。

リチャード・マーチン・スターン原作の『ザ・タワー』と
トーマス・N・スコーティアとフランク・M・ロビンソン
ザ・グラス・インフェルノ
をスターリング・シリファントが1本のシナリオにまとめた。
マックィーンの消防隊長オハラハンが登場するのは開幕から43分頃で
ここはうまいことマックィーンが活躍する場面を増やしてバランスを取っている。
最後はマックィーンとニューマンが合流してクライマックスに持っていく。
そして監督はジョン・ギラーミン
ギラーミンはドラマ部分を演出して、火災場面や特撮はアーウィン・アレンが演出。
ジョン・ギラーミンも大勢のスターをまとめるのは骨が折れたと思うのだが
これ以降は『ナイル殺人事件』以外の作品がパッとしないのは何故だろうか?
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6

サンフランシスコの空にそびえ立つ138階建ての
世界一高い超高層ビル“グラス・タワー”が
落成の日を迎えた。設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)と
オーナーのジム・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、
屋上に立って眼下にひろがる市の光景を見下ろしていた。ロバーツは疲れていた。
一刻も早くコンクリートの大都会からのがれ出て、
大自然のふところに飛び込みたかった。
工事主任のギディングス(ノーマン・バートン)と打合わせをすませたロバーツは
婚約者のスーザン・フランクリン(フェイ・ダナウェイ)
と久しぶりに二人だけの時間をもった。
惨事は、そのときすでに始まっていた。
“グラス・タワー”の地下室にある発電機が故障したため主任技師のキャラハンが
予備の発電機を始動させたとたんショートし、
81階にある物置室の配線盤のヒューズが火を発し、
燃えながら床に落ちた絶縁体の破片が発動機のマットをくすぶらせ始めたのだ。
保安主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)の
緊急報告を受けたロバーツは配線工事が自分の設計通りに行われていないのに
憤然として、落成式の一時中止をダンカン企業の
広報部長ダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)に申し入れたが、
ダンカンは拒絶した。しかしそのとき81階では火が大きく拡がりはじめていたのだ。
ロバーツはダンカンの義理の息子である
ロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)に会い、
ビルの配線工事を担当した彼の配慮不足を責めたが、あとの祭りだった。
一方、火災の発生をまだ知らない“グラス・タワー”の借間人たちは
落成式パーティの準備に浮き足立っていた。1階から80階までがオフィス用、
それから上は住宅用に作られたこのビルには、すでにさまざまな人が住みついて、
たとえば90階のハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)の
職業は株専門のサギ師だ。彼はおなじ階に住む富豪未亡人
リゾレット・ミューラー(ジェニファー・ジョーンス)に早くも眼をつけ、
今夜のパーティにエスコートし、うまく話をまとめて一儲けしようとしていた。
外部からの招待客もそうそうたる顔ぶれで、
上院議員ゲイリー・パーカー(ロバート・ヴォーン)、
サンフランシスコ市長ロバート・ラムゼイなどがいた。
入口のリボンが市長の手によって切られると、
人々は135階のプロムナード・ルームへ直行し、
ビルの全てのライトがともされ“グラス・タワー”の全容は
夜空にクッキリとあらわれた。
だが81階の物置室から出火した火は拡がり、ロバーツは消防署に急報した。
連絡を受けた消火隊は隊長のマイケル・オハラハン(スティーヴ・マックィーン)の統率のもと、ほどなくビルに到着した。
彼はただちにロバーツと“グラス・タワー”の設計図を検討した上、
79階に司令センターを設置、ダンカンに緊急避難を令じた。
81階の火が他に移り始めてエレベーターにも危険が迫っていることを
察知したオハラハンは展望エレベーターを利用するよう令じたが
すでに大混乱が始まっていた。
地上からの救援だけでは間に合わぬことを知ると、
オハラハンは海軍のヘリコプターに空からの救援を依頼したが、
強風のためビルに近づくことができず、
かろうじて近づいた一機もビルに激突して炎上した。
“グラス・タワー”は今や完全にひとつの巨大な溶鉱炉と化した。
隣りのビルからのワイヤーの救命籠作戦も
ロジャー・シモンズやパーカー上院議員の犠牲者を出し、
いきずまっていた。あと15分で火がプロムナード・ルームに届くというとき、
耐火服に身をかためたオハラハンはヘリで屋上にたどりつくと、
ロバーツと協力してプロムナード・ルームのちょうど
真上にある巨大な貯水槽を一挙に爆破、放水させることにした。
百万ガロンに近い水の奔流で、執拗に攻めのぼってくる炎を消しさろうというのだ。
ほとばしる水力に押し流されて死ぬ者も出たが、
猛威をふるっていた炎はついにおさまった。
(キネマ旬報より)




20世紀フォックス映画
ワーナーブラザーズ映画
共同製作

監督: ジョン・ギラーミン 
    アーウィン・アレン 
製作: アーウィン・アレン 
原作: トーマス・N・スコーシア 
    フランク・M・ロビンソン 
    リチャード・マーティン・スターン 
脚本: スターリング・シリファント 
撮影: フレッド・コーネカンプ 
    ジョセフ・バイロック 
特撮: L・B・アボット 
作詞作曲: アル・カシャ 
 ジョエル・ハーシュホーン 
音楽: ジョン・ウィリアムズ

 スティーヴ・マックィーン
 ポール・ニューマン
 ウィリアム・ホールデン 
 フェイ・ダナウェイ
 フレッド・アステア
 O・J・シンプソン
 リチャード・チェンバレン
 スーザン・ブレイクリー
 ロバート・ヴォーン
 ロバート・ワグナー
 ジェニファー・ジョーンズ
 スーザン・フラナリー

デラックスカラー
パナビジョン(2.35:1)
英語
磁気4トラックステレオ
165分
配給:ワーナーブラザーズ映画
日本公開1975年6月28日
日本語字幕:高瀬鎮夫

TOWERING INFERNO
Copyright © MCMLXXIV by Twentieth Century-Fox Film Corporation
and Warner Bros. Inc. All Rights Reserved





転覆!『ポセイドン・アドベンチャー』

$
0
0

イメージ 1


ポセイドン・アドベンチャー』(1972)
THE POSEIDON ADVENTURE



ポセイドンはギリシヤ神話の神でネプチューンとも呼ばれる。
その神は時には大地を揺るがして津波を起こす。
そんな神の名を付けた老朽船の豪華客船ポセイドン号
海底地震で発生した未曾有の大津波で船体は転覆、
生存者たちは船底に向かい救助を待つが
ひとり、またひとりと命を落としていく・・・・
原題も邦題も『ポセイドン号の冒険』だが
その冒険とは生死を賭したサバイバルゲームだ。
ポセイドンの神が与えたゲームに負ければ
生存者たちは命を取られる過酷で残酷な物語だ。
そして生存者たちのリーダーとなるのひとりの神父で
彼は生存者数名を率いて危険を冒しながら船底へ向かう。


イメージ 2
イメージ 3



主演は『フレンチ・コネクション』でオスカーに輝いた直後の
ジーン・ハックマン。
アーネスト・ボーグナイン、ステラ・スティーヴンス
キャロル・リンレー、ロディ・マクドウォール
レスリー・ニールセン、レッド・バトンズ

当時はデビュー新人のパメラ・スー・マーティン

前回の『タワーリング・インフェルノ』と順序が逆になったようだが
この作品でパニック映画の手法が確立されたと言ってもよい。
アメリカではパニック・ムービーとは呼ばすDISASTER FILMと称される。
DISASTER とは災害や惨事を意味する。
そのきっかけとなった1970年のユニヴァーサル映画『大空港』と同じく
登場人物の紹介や状況を描きながら物語は進行して
グランドホテル形式=1932年のMGM映画『グランド・ホテル』で
描かれた人間模様のストーリー展開からこう呼ばれるようになる。
全員が出揃ったところで惨事が発生するという定石が擁立され
この『ポセイドン・アドベンチャー』でもそれは踏襲されて
なぜ出演者たちにこんな厄災が降りかかった原因まで映画は
観客にじっくり説明される。

特撮シーンも迫力があるが、なんと言ってもこの
作品の魅力は濃厚な人間ドラマ部分にある。

ジーン・ハックマンの神父
アーネスト・ボーグナインの刑事と
元売春婦だったその妻ステラ・スティーブンス
初老の夫婦エリック・シェアとシェリー・ウィンタース
歌手キャロル・リンレー
独身の雑貨商レッド・バトンス
客室係のロディ・マクドウォール
女子高生のパメラ・スー・マーティンと
その弟で船の構造に詳しいエリック・シェア
この10人が船底に向かうのだが
さまざまな危険や障害が立ちはだかる。

イメージ 7
イメージ 8

主よ、助けてくれとは申しません。
どうか邪魔はしないで下さい・・・!

監督はロナルド・ニーム
イギリス出身で『泥棒貴族』や『ダイヤモンド作戦』を
監督したが彼の最大のヒット作になった。
製作は『タワーリング・インフェルノ』のアーウィン・アレン
この作品でさまざまな技術を体得したアレン率いるスタッフが
『タワーリング・インフェルノ』で100%活かされた事は
有名になった。原作はポール・ギャリコ
音楽はジョン・ウィリアムズ
モーリン・マクガバンの唄った
モーニング・アフター」(The Morning After) が
大ヒットしてアカデミー歌曲賞を獲得した。


81000トンの豪華客船ポセイドン号が、
ギリシャに向かうためにニューヨーク港をでたのは12月末だった。
船長(レスリー・ニールセン)は最初から船の重心が高いことに気づいていた。
バラスト(底荷)をしていないので、船体の上部が重く、
大波を喰うと転覆する恐れもあり、スピードを出すことも危険だったが、
船主の代表はそれを認めなかった。
ポセイドン号が地中海に入ったとき、地震観測所から、
クレタ島南西130マイル沖合いで海底地震があったという電報が入った。
それから間もなく大津波がおしよせポセイドン号は一瞬にして転覆した。
船体の上部が海底に没し、船底が海面に現われたのである。
折から新年を祝うパーティが大食堂で催されており、
集まった船客たちのほとんどが生命を失うという大惨事だった。
乗客の1人であるフランク・スコット牧師(ジーン・ハックマン)は、
大混乱が鎮まると奇跡的に助かった人々と共に脱出を試みた。
ニューヨークの刑事であるマイク・ロゴ(アーネスト・ボーグ・ナイン)
その妻でもと売春婦だったリンダ(ステラ・スティーヴンス)、
雑貨商のジェームズ・マーティン(レッド・バトンズ)、
中年夫婦マニー・ローゼン(ジャック・アルバートソン)と
ベル(シェリー・ウィンタース)、歌手のノニー・バリー(キャロル・リンレイ)、
17歳のスーザン・シェルビー(パメラ・スー・マーティン)と
10歳になるその弟のロビン(エリック・シーア)
そして船のボーイ、エーカーズ(ロディ・マクドウォール)の9人が
スコットに従うことになり、あとの生存者は、
救急隊がくるまでじっとしていた方がいいという事務長の意見をとった。
スコット牧師は、かすかながら船内にともる電気があるうちに、船の竜骨、
つまり海面に1番近い所にたどりつき、そこで待機していれば助かるかもしれないと判断したのだ。
上部に進むためには大クリスマス・ツリーを逆によじ登っていかなければならない。
10人が登り終わったとき、スコット牧師の意見が正しかったことが証明された。
キッチンボイラーが爆発して、残った人々を流してしまったのだ。
一行はスコット牧師の指示に従い、ブロードウェイと呼ばれる通路を通り、
エンジンルームにたどりついた。その間、船内の爆発はたびたび起こり、
船体は往々に沈下して、海水が下から次第にせり上がり、皆をあせらせた。
最初の不幸は、ギャレーから次のエンジンルームに向かうときに興った。
35フィート先にあるエンジンルームに着くためには水中を通らなければならない。
ロープをはるために、スコット牧師が飛び込んだ。だが途中、
倒れてきた鉄板の下敷きになって身動きができなくなってしまった。
娘の頃、水泳選手であったベルは、異変を感じ水中に飛び込んだ。
無事彼を救ったベルは、目的地に泳ぎついたものの、
心臓発作に襲われ、息を引き取った。
やがて他の生存者たちもベルを見習い、
水を潜ってエンジンルームにたどりついたが、
彼女の死は一同を悲しみに包んだ。やがて一行は最後の困難にさしかかった。
いよいよプロペラ・シャフトにアタックする段階に入ったのである。
この時、船体が再び傾いたと思う間もなく遠くに爆発音が起こり、
更に船体は船尾に傾いた。このため、ロゴ刑事の妻リンダが振り落とされ、
水中に沈んだ。参事は更に続いた。出口のそばにあるスチーム・パイプが破れ、
噴き出し始めたのだ。このままでは進路がはばまれれば、
今までの苦労は水の泡になってしまう。
スコットは決意したようにパイプに飛びつきハッチをしめた。
だがさすがの彼も熱いスチームには耐えきれず水中に落下した。
スコット牧師に変わってロゴが指導する一行はやっとの思い出船底にたどりついた。
皆は鉄棒を振って船底を無我夢中で叩きだした。
すると、遠くからかすかに反応が聞こえてくる。
外には救助隊が救助にきていたのだ。
船底の扉が焼ききられ、太陽がさし込んだ。
助かった6人を乗せたヘリコプターが大空へと舞い上がっていった。
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6

特に初々しいパメラ・スー・マーティンが可愛い。
そして名女優のシェリー・ウィンタースが泣かせる
口の悪いあばずれ女を演じパンツ丸見えで熱演の
ステラ・スティーヴンスも頑張っている。
キャロル・リンレーもいい。
女優陣が頑張っていたのがこの
ポセイドン・アドベンチャー』の良さでもある。


イメージ 920世紀フォックス提供
アーウィン・アレン・プロ製作
監督: ロナルド・ニーム 
製作: アーウィン・アレン 
原作: ポール・ギャリコ 
脚本: スターリング・シリファント 
    ウェンデル・メイズ 
撮影: ハロルド・E・スタイン 
特撮: L・B・アボット 
プロダクションデザイン: ウィリアム・クレバー 
編集: ハロルド・F・クレス 
作詞作曲: アル・カシャ 
      ジョエル・ハーシュホーン 
音楽: ジョン・ウィリアムズ

 ジーン・ハックマン 
 アーネスト・ボーグナイン
 レッド・バトンズ 
 キャロル・リンレー 
 ロディ・マクドウォール
 シェリー・ウィンタース
 パメラ・スー・マーティン
 ステラ・スティーヴンス
 ジャック・アルバートソン
 レスリー・ニールセン
 アーサー・オコンネル
 エリック・シェア



デラックスカラー
パナビジョン(2.35:1)
70mm(2.20:1)
英語
磁気4トラックステレオ
117分
日本公開1973年3月17日
20世紀フォックス配給
日本語字幕:清水俊二



THE POSEIDON ADVENTURE
COPYRIGHT © MCMLXXII BY TWENTIETH CENTURY-FOX FILM
CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED



喰らえ!JAWS ジョーズ

$
0
0

イメージ 1

イメージ 2





























JAWS ジョーズ』(1975)

パニック映画特集も終盤に差し掛かった・・・・
まさにこの1作でハリウッドの五本の指に入る映画監督が誕生する。
その監督はスティーブン・スピルバーグ
少年時代からディスレクシアであった彼は同級生からいじめに遭うこともあった。
そして8ミリカメラで映画撮影にのめり込み、ついに17歳の頃に
ユニヴァーサル・スタジオに潜入・・・そこで仲良くなったスタッフに
通行証を作ってもらいやがて顔パスで出入りするようになる。
カリフォルニア州立大学に通う頃にはユニヴァーサル・スタジオ内に
掃除小屋を勝手に自分のオフイスとして使い
26分の短編『アンブリン』を製作する
(このタイトルこそ彼のプロダクションの名前になる)
この短編はユニヴァーサルの重役シドニー・シャインバーグの目に留まり、
7年間の契約を交わす。
ほとんどはTVムービーかTVシリーズのエピソードを担当
(『刑事コロンボ・構想の死角』や日本では劇場公開された『激突!』など)
そして1974年に劇場映画に進出
初めて手掛けたのはゴールディ・ホーン主演の『続・激突!カージャック
予算も内容もB級作品だがアイデア勝負の面白い映画で
300万ドルの予算で北米で750万ドルの興行成績を収めた。
そして若干28歳にして劇場用第二作のお鉢が回ってきたのだ。
それはピーター・ベンチリー原作の海洋スリラーだった。

主演はロイ・シャイダーと名優ロバート・ショウ
それにスピルバーグとほぼ同い年のリチャード・ドレイファス
ロレイン・ゲイリーマーレー・ハミルトン
(ロレイン・ゲイリーはシドニー・シャインバーグの妻)
撮影はコッポラ作品や『脱出』でパワフルかつシリアスな
構図で定評がある名匠ビル・バトラー
音楽は今回の特集ですべて通しでこの人が担当している
ジョン・ウィリアムズ。(本作でアカデミー作曲賞を受賞)
製作はデイヴィッド・ブラウンそれに
名プロデューサーのリチャード・D・ザナック

スピルバーグは撮影中に次回作の構想で『未知との遭遇』のプロトタイプを
出演者たちに語っていた。その中でその話に夢中になったのがR・ドレイファスで
主人公ニアリーの役をスピルバーグに切望した。
スピルバーグは設定を変えてニアリーをもっと若くして
ドレイファスを起用したらしい。
夜の沖に浮かぶオルカ号の上の空に流れ星がふたつ・・・
これはスピルバーグのお遊びで入れたらしい。

1945年に沈没した巡洋艦インディアナポリス号の生存者だという
設定のクイント(R・ショウ)の話による
イタチザメによる水兵たちが食われた話は事実ではなく、
体温の低下や体力の消耗による犠牲者がほとんどだった。

1975年暮れに、CICによる配給で日本では公開され
タワーリング・インフェルノ』とほぼ同じ劇場、規模で公開され
大ヒットを飛ばした。当初は松竹・東急系の丸の内松竹など
(関西なら道頓堀ピカデリー、梅田東映ホール)で掛かる予定が
アメリカでの評判がすこぶる良くて、予定をすべてキャンセルして
正月用作品として全国拡大公開にブッキングされた。
東京地区は丸の内ピカデリー、渋谷パンテオン、松竹セントラル
大阪地区は松竹座、梅田グランド、梅田東映パラス、千日前国際劇場
で拡大公開されて社会現象ともなる空前のヒットを記録した。

『タワーリング・インフェルノ』
は興行収入36.6億円
『JAWS ジョーズ』は
興行収入50.5億円

イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7

それは、6月のある夜に始まった。小さな海水浴場アミティの浜辺には、
気の早い若者のグループが焚火を囲んで
ビールを飲んだりギターをかき鳴らしてたわむれていた。
その中にクリシーという女子大生がいた。波打際めがけて走り出し、
一糸まとわぬ姿でなまぬるい夜の海に飛び込んだ。どんどん沖へ出る。
やがて彼女何かが自分の足をひっぱっているような衝撃に襲われた。
次の瞬間、水面から身体が浮き上がった。
恐怖で声が凍って、クリシーの身体はかき消すように海面から消えた。
彼女が最初の犠牲者だった。
翌朝、アミティの警察署長ブロディ(ロイ・シャイダー)の家に電話がかかり、
溺死者が出たとの報告が入った。
浜辺に直行したブロディは、そこに打ちあげられている
きりきざまれたような人間の肉体の断片を目撃し、
吐き気を慌てて呑み込んだ。
署に戻ったブロディは事故報告書の死因欄に“鮫に襲われて死亡”と書いた。
ブロディは海岸に遊泳禁止の立て札を立てることを決意したが、
アミティ市の市長ボーン(マーレイ・ハミルトン)が顔色を変えてやってきた。
アミティは夏の間に海水浴場がおとしていく金で、
住民が細々と残り1年の生活を成り立たせているような、典型的な宇美の町だった。
海岸を閉鎖する事は大変な死活問題である。
死因は鮫でなく漁船に巻き込まれたかもしれないというのが
ボーン市長の主張だった。
検死官も市長の言葉に追従した。
翌日の日曜日、大勢の人が浜辺にでて初夏の太陽を楽しんでいたが、
ブロディの心は落ちつかなかった。やがて第二の犠牲者が出た。
少年が海中に消えたのだ。
少年の母親は仇のために3千ドルの賞金を出すという新聞広告を出した。
同じ日に開かれた市議会では、海岸を閉鎖すべきか否かで
激しいやりとりが交わされた。
そのとき、会場の後からボソリとした声がした。
漁師のクィント(ロバート・ショウ)で、
1万ドル出すなら人喰いザメを殺してやろうという申し出だ。
やがてブロディに援軍が現われた。
若い海洋学者フーパー(リチャード・ドレイファス)だ。
クリシーの遺骸をみたフーパーは間違いなく鮫の仕業で、
しかも誰も今まで見たことがないような巨大な鮫だという。
賞金につられてアミティの沖合いに群がった
漁船の一隻が全長4メートル余りの虎鮫をしとめて戻って来た。
人々はこれこそ人喰い鮫と騒ぎ立てた。
しかしブロディとフーパーはクリシーの遺骸から虎鮫の口蓋が小さすぎると感じた。
その夜、虎鮫の腹を切り裂いた二人の前に人間の肉片は発見されなかった。
翌7月4日、アミティの海開きだった。
早朝から海水浴場が続々アミティからやってきた。
武装した見張りがボートに分乗し、
ヘリコプターを配置してものものしい雰囲気だったが、
その裏をかくように巨大な殺人マシーンは
狭い水路をさかのぼり、その先の広い入江に向っていた。
ボートに乗っていた若い男がまたたくまに犠牲になり、
ブロディの子供もあやうく喰い殺されるところだった。
海岸は閉鎖され、クィントは正式にやとわれた。
彼の漁船“オルカ号”にブロディとフーパーの3人が乗り込んで、
鮫殺しに出発した。数時間後、殺人マシーンが、姿を現わした。
全長8メートルという巨大なホオジロザメで、
体重は3トンもあろうかという信じられない怪物だ。
クィント得意の武器である樽をつけた銛も、今度ばかりはまったく通じなかった。
鮫は挑戦するように巨大な体をオルカ号にぶつけてくる戸、
船底はたちまち破られ、水が入ってくる。
もはやクィントはお手上げだった。
ーパーは最後の手段として金の檻に入り、海中に入った。
そこから強烈な毒を撃ち込もうというのだ。
しかし、鮫にとって金の檻などマッチ箱にも等しく、
たちまち破壊され、フーパーは海底にしずんでいった。
オルカ号に対する鮫の本格的な攻撃が開始された。
オーガ号は半分沈み、クィントがひとのみで喰われた。
船に残されたブロディは、再度襲ってきた鮫に酸素ボンベをくわさせた。
オーガ号のマストに登ったブロディはライフルでその酸素ボンベに狙いを定める。
ものすごい爆発音がおわると、再び静寂が訪れた。
そしてフーパーも船に戻ってきた。船は沈み、
二人は木片につかまって岸に向かって泳ぎ出した。

製作されたロボットのホオジロザメは「ブルース」と名付けられたが
水が入って重くなったり動かなくなったりで現場では不評だった。
製作したのはロバート・マッテイ
ウォルト・ディズニーが大好きで堪らないスピルバーグが
ディズニーの実写映画『海底2万哩』(1954)でノーチラス号を
襲う巨大イカを製作したのがマッティその人だからだ。
イメージ 11ブルースに乗るスピルバーグ



この『ジョーズ』以降のパニック映画は動物ものが爆発的に増加した。
『スクワーム』(1976)のゴカイ、ミミズ
『グリズリー』(1976)のクマ
『テンタクルズ』(1977)の巨大タコ
『オルカ』(1977)のシャチ
『スウォーム』(1978)の殺人蜂
『ピラニア』(1978)のピラニア
『アリゲーター』(1980)のワニ
など挙げたらきりがない。

怪物の全貌をすぐに表さないホラー&SF映画の手法を定石どおりに
踏襲したスピルバーグ。このストーリーラインは
彼が愛した50年代のB級SF映画とほとんど同じ。
武骨な役柄を演じたロバート・ショウだが外見と全く違い
彼の素顔はインテリで紳士、おまけに小説も多数発表して
映画の脚本や戯曲も手掛けている多彩な俳優だった。
脚本で詰まっているスピルバーグに対して的確な助言やアドバイスをして
この映画の成功に寄与したひとりだった。
イメージ 8
ウエットスーツを着ているのがスピルバーグ




スピルバーグがこの作品の撮影中に最も意識した作品は・・・・
それは同じく過去にユニヴァーサルで製作された
アルフレッド・ヒッチコックのスリラー『』(1963)だった。
砂浜で海を監視しているブロディ署長にいきなりズーミング、
これはヒッチコックが『めまい』(1958)で使った「ドリーズーム
この手法は『サイコ』や『マーニー』でも使われた。
かなりヒッチコックを研究したらしい。
イメージ 9
イメージ 10


ブロディ署長が持ち込んだのは官給品のS&W M15回転式拳銃(口径38スペシャル)
と第二次大戦時米陸軍の歩兵の主力火器だった
M-1ガーランド自動小銃(30-06スプリングフィールド弾)
はっきりいってこんな物では役に立たなかった。
イメージ 3


最初の犠牲者クリシーが襲われるシーンは
1941』(1980)でスピルバーグ自身がパロディにしているが
この作品はコケたので自分の作品を自分でイジるのは封印してしまったらしい。

途中から話は海洋アクションに切り替わり観客を
グイグイ引っ張っていく小気味の良さ。
そしてラストは圧搾酸素を咥えた化け物鮫を
ライフルで吹き飛ばしスカッとする結末。
大阪の松竹座の超満員の観客席から
大きな拍手が起こったのは忘れられない。


ザナック=ブラウン・プロ
ユニヴァーサル提供

監督: スティーヴン・スピルバーグ 
製作: リチャード・D・ザナック 
    デヴィッド・ブラウン 
原作: ピーター・ベンチリー 
脚本: ピーター・ベンチリー 
    カール・ゴットリーブ 
撮影: ビル・バトラー 
美術: ジョセフ・アルヴス・Jr 
編集: ヴァーナ・フィールズ 
音楽: ジョン・ウィリアムズ
 ロイ・シャイダー
 ロバート・ショウ
 リチャード・ドレイファス
 ロレイン・ゲイリー
 カール・ゴットリーブ
 マーレイ・ハミルトン
 ジェフリー・クレイマー
 スーザン・バックリーニ
 ジョナサン・フィレイ

テクニカラー
パナビジョン(2.35:1)
英語
磁気4トラックステレオ
124分
日本公開1975年12月6日
(ユニヴァーサル=CIC配給)
日本語字幕:高瀬 鎮夫

JAWS
Copyright © MCMLXXV by Universal Pictures. All rights reserved.




Viewing all 263 articles
Browse latest View live